世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会と世界イスラーム連盟(MWL、本部:サウジアラビア・メッカ)は9日と10日、日本ムスリム協会の協力を得て、グランドハイアット東京(東京都港区)で、「ムスリムと日本の宗教者の対話プログラム―平和のための共通のビジョンを求めて―」を開催した。
この大会は、イスラム教が平和の宗教であるというメッセージについて、相互の理解を深めようと、MWL加盟の7カ国27人と、日本のキリスト教徒を含む関係者ら約300人が参加して行われた。大会の終わりには共同声明を発表し、過激派の諸組織が犯している暴力行為や殺りく行為が、イスラム教の平和と慈悲の教えに反するものであるとして、これを非難した。
「イスラムは慈悲と平和を呼び掛け、人間の尊厳を擁護するものである。イスラムは、精神、名誉および資財の神聖性を守るものである」。声明文は、イスラム教の聖典であるコーランを引用しながらこう述べた。
この声明文で、大会参加者らは、人類の共存の発展と向上の道を求めて議論し、世界の平和と公正の実現に向けて協働することの願いを共にしたと述べた。また、崇高な人間的諸価値を強化し、かつこれを広く教化するために共に協力し合うことを誓ったと記している。
声明文はまた、文明、宗教、文化および宗派を異にする人々の間の敵意と憎悪の文化を拒否することについても意見の一致をみたとした。
そして、イスラム教と平和について、「世界には種々さまざまな相違があるが、それは紛争や分裂を引き起こすものではない。文明が数多く存在するのも、文明や人種や文化が多様であるのも、人間の思想や生活の豊穣(ほうじょう)さを促すものとすべきである」と述べている。
「対話によってこそ、紛争から理解と協力と融和の道が可能となろう。豊かな人間的な文明の構築は、健全かつ強力な協力の上に築かれねばならない。それ故、こうした努力を積み重ねることによって公正の実現と相互の平和の維持に力を尽くさなければならない」と、対話の重要性を強調した。
イスラム教とテロリズムについては、「テロリズムと戦う最善の道は、テロリズムの諸原因を除去することである。そのためには、イスラム教徒がテロリズムの諸原因を偏見にとらわれることなく、公正に取り組む上で受けている彼らの苦しみを緩和することから始めなければならない」と述べた。
一方、この大会は、世界イスラーム連盟が今年2月22日〜25日にサウジアラビア・メッカで開催した「イスラムとテロリズムとの戦い」会議で出された最終声明への支持を表明した。
なお、WCRP日本委員会は2月6日、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)による人質・殺害事件に関する声明を発表している。