女性信徒への性的暴行を繰り返していたとして、強姦容疑で国際指名手配を受けているカルト団体「摂理」の教祖・鄭明析(チョン・ミョンソク)容疑者(62)とみられる人物が、中国の公安当局によって今月1日に北京市内で逮捕されたことが分かった。韓国の通信社・聯合ニュースが11日、報じた。
鄭容疑者とみられる人物を逮捕した中国東北地方の遼寧省鞍山市公安当局は、約1ヶ月前から同容疑者が一時潜伏していたとみられる別荘などを調査したうえで、今回の逮捕に踏み切ったという。身柄は翌日鞍山市に移され、現在も取調べが続いている。同容疑者は昨年4月に中国国内で婦女暴行事件を起こし、中国全土でも指名手配されていた。
今回の逮捕は、中国側が韓国外交通商省に通報してきたことで分かったが、鄭容疑者は約1年前からすでに拘束されているとの情報もある。同容疑者は偽造旅券を常に2、3個所持しているとされており、韓国警察当局は身元を確認するために、指紋採取などを急ぐよう求めている。最終的な確認が取れ次第、韓国への身柄引渡しが行われる見込み。
鄭容疑者は、01年に国際手配されて以来、イタリヤや中国、台湾などを転々としながら逃げ回っていたとされているが、その動向がつかめないままであった。韓国メディアによれば軍や警察などにも信者がいると報じられており、逃亡の際の手助けをしていた可能性も考えられている。今回逮捕された人物が、同容疑者と確認されれば、団体の実態解明に大きな前進となりそうだ。
日本での摂理の信者は約2千人とされており、鄭容疑者による性的暴行の被害も多数報告されている。今年1月には千葉県警が、同容疑者の側近女性幹部(44)の入管難民法違反(資格外活動)容疑で、千葉市内の同女性幹部宅や関連施設などの家宅捜索に乗り出している。日本では87年頃から、主に関東、関西、九州の大学で活動していたとされる。
鄭容疑者によって80年ごろに始まった「摂理」は、韓国、日本、台湾などに拠点があるといわれている。複数の女性信者が同容疑者から性的暴行を受けたとして各国で社会問題化。99年韓国で、多くの女性信徒に対して性的暴行を行っていたことがテレビで報じられ、同容疑者は国外へ逃亡。01年に、強姦容疑などで国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際指名手配されていた。