2015年までに5歳未満で亡くなる子どもの数を1990年比で3分の1に削減すること。これが、00年に国連サミットで採択された「ミレニアム開発目標」の掲げる目標数値である。しかし、5歳未満児の死亡数は目標ラインを現在も上回っており、取り組みのさらなる充実が緊急に求められている。
そんな中、キリスト教精神に基づき、貧困で苦しむ世界の子どもたちを支援する国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン(=WVJ、東京都新宿区)は、各国のワールドビジョンと連携して行う世界規模の取り組み「Child Health Now-アクション!救えるはずの命のために」の専用ホームページを公開。鳩山首相に母子の命を守るための取り組みを率先して行うことを求める署名を募るなど、取り組みへの具体的な参加方法を提示している。
世界では、今もなお3秒に1人の子どもが、5歳の誕生日を迎えることなくその尊い命を失っている。世界保健機関(WHO)の08年度調査によると、5歳未満で亡くなる子どもたちの死亡要因のトップは新生時期の死亡で、次に肺炎、下痢、マラリア、はしか、と続く。これらの要因の多くは、比較的安価で簡単な手段で予防、治療が可能である。
だが、救えるはずの子どもたちの命を守るためには、単に現地政府による保健システムの強化だけでなく、母親の健康改善、母子の栄養改善、地域の復興支援など、総合的な取り組みが不可欠だ。そのためにも、先進国をはじめとした国際社会の安定した支援が求められている。昨今の経済危機の影響で、途上国のさらなる経済状況の悪化が懸念されているだけに、その必要性はいままでになく高まっている。
WVJは今月6日、外務省国際協力局専門機関室長の長岡寛介氏ら6人のパネリストを招いてシンポジウムを開催。国連や政府、企業、メディア、NGOなどそれぞれの立場から「救えるはずの子どもたちの命を守るために、日本の私たちにできること」をテーマに話し合い、参加した市民らに支援活動への積極的な参加を呼びかけた。
専用ホームページでは、個人はもちろん、学校や企業を対象にした具体的な参加方法も紹介。学校には、日本にいながらアフリカの子どもたちの過酷な日常生活を疑似体験できる体験型プログラム「教科書にのっていないアフリカ」の学内での開催や、WVJ事務所へのグループ訪問などを提案している。また、企業には、実際に行われている支援プロジェクトの具体例を紹介し、特別プロジェクト、タイアップ企画などによる支援を提案している。
キャンペーンへの参加件数を毎月ホームページで公開することで、子どもたちを救う取り組みの充実を、具体的な数値を通して各国政府に訴えていく考えだ。
WVJでは、今回のキャンペーンと並行して、クリスマスまでに6500人のチャイルド・スポンサーを募集するキャンペーンも実施。こちらも特設のキャンペーンページを公開するなど、広く市民の参加を呼びかけている。