不安や悩みを持つ人々の話し相手となって、自殺を予防する電話相談機関「徳島いのちの電話」を主宰する社会福祉法人・県自殺予防協会が、保健衛生の向上に尽力した団体・個人に贈られる「第61回保健文化賞」(第一生命保険相互会社主催)を受賞した。同賞後援の朝日新聞が伝えた。
徳島いのちの電話は1979年、電話による悩み相談で自殺者を減らそうと、キリスト教会・希望館牧師で同協会理事長の近藤治郎氏が自宅の一室で始めた。当初は妻・文子氏と2人での活動だったが、3年後には相談員の養成を開始。98年には市民活動として定着させるべく社会福祉法人を設立し、各地で講演会も開いている。
現在は徳島、美馬、阿南、三好の各市にある事務所で約110人のボランティアが交代で相談に対応。昨年の相談件数は1万5347件で、そのうち自殺志向が見られたものは589件あったという。全国の自殺者が年々増加する中、徳島では03年の自殺者が47都道府県中最少になるなど地道な活動が成果を上げているようだ。
今回の保健文化賞受賞について近藤氏は「相談者から寄せられるお礼の電話や手紙に支えられてきた」と喜んでいる。一方で、いのちの電話には「相談者が電話しようとしても話し中で繋がらない」との課題があり、これを解決すべく、相談員や電話機を増やして24時間対応にすることを今後の目標として掲げている。
同協会は10月30日、31日、11月1日の3日間、近藤氏が活動を振り返り、課題を語る30周年記念「ありがとう講演会」を開く。30日は午後7時から、あわぎんホール(徳島市藍場町2丁目)で、31日は午後2時から阿南市情報文化センター(同市羽ノ浦町中庄)で、1日は午後2時から三好市保健センター(同市池田町)で開催。いずれも参加費無料。