イスラエル宣教の最前線で活躍する3人のメシアニック運動指導者を主講師とした「アジア・メシアニック・フォーラム 2009」が19日〜20日には大阪で、22日〜23日には東京で開催された。
イスラエルから招かれたエイタン・シシコフ師、ヨセフ・シュラム師、ピーター・ツカヒラ師がそれぞれ、イスラエルで取り組む宣教活動を報告。日本人講師らとのパネルディスカッションも行われ、旧約時代から神への信仰を持って歩んできたユダヤ人と日本人がともに宣教について語り合う貴重なフォーラムとなった。
ピーター・ツカヒラ師 「終末前に2つの預言が成就」
22日の東京での集会では、日系米国人でイスラエル国籍を持つピーター・ツカヒラ氏が講演。1987年に移民し、カルメル山のコングリゲーション(会衆、教会)「カルメル・アセンブリー」を拠点に宣教を行うツカヒラ氏は、終末=イエス・キリストの再臨の前には2つの重要な預言の成就があると指摘。1つには、イエスがユダヤ人に向って「お前たちは、『主の名によって来られる方に、祝福があるように』と言うときまで、今から後、決してわたしを見ることがない」(マタイ23:39) と語っており、再臨の前にはユダヤ人の救いが成されなければならないことを挙げた。
「ユダヤ人は神の終末の時計」などと言われ、ユダヤ人の救いが終末に関する問題で重要視される一方、ツカヒラ氏は終末を知るための時計には「2つの針がある」と述べ、ユダヤ人とユダヤ人以外の諸民族の救いについてもその重要性を指摘。終末までに成就するもう一つの預言として、「御国のこの福音はあらゆる民への証しとして、全世界に宣べ伝えられる。それから、終わりが来る」(マタイ24:14)とあり、終末までに「御国の福音」がすべての民族に伝えられる必要があると語った。
ツカヒラ氏によると、「御国の福音」はイエス・キリストの贖いによる各個人に向けられた「救いの福音」を含むより大きなもの。救われた者が福音を伝えるための訓練を受け、社会へ出て様々な領域で王の中の王であるイエス・キリストを証しし、その領域の中心にイエス・キリストがあるようにすることだ。
ツカヒラ氏は、福音がイスラエルから西方向へ伝わり、欧州、米国の社会のあらゆる面で大きな影響を与えた。そして、今は「アジアを福音の波が飲み込もう」としていると強調。アジアを越えた先には、中東、イスラエルがあり、2つの預言の成就が見えつつあるとし、参加者らに「神の波に乗ろう」と力強く呼びかけた。
ヨセフ・シュラム師 「ユダヤ人宣教は躓きを取り除くこと」
16歳で洗礼を受け、当時はまだイスラエル国内で50人ほどしかいなかったメシアニック・ジュー(イエスをメシアと信じるユダヤ人)の1人として約40年間にわたってイスラエル宣教を続けるヨセフ・シュラム氏は、ユダヤ人宣教について、歴史的にユダヤ人がメシア(キリスト)を信じることを妨げてきた躓きを取り除くことと、そして光であるイエス・キリストを伝えることの2つが重要だと語った。
イスラエルで最も古いコングリゲーションの1つ「ネティブヤ」を創設したシュラム氏は、ユダヤ人の最も大きな躓きは「キリスト教(Christianity)」だと指摘。それぞれのキリスト教会(Church)やキリスト教徒(Christian)が躓きではないが、これまでの歴史の中で迫害を受けてきたユダヤ人にとって、キリスト教が最も大きな躓きとなっていると言う。
どうすれば躓きを取り除くことができるのか。シュラム氏は、「痛みのあるところに癒しを、飢えのあるところにパンを、暗闇のあるところに光を、憎しみのあるところに愛を」持ち込むことだと言う。ユダヤ人にとって抵抗感のある欧州風の賛美ではなくユダヤ風の賛美を用いたり、ユダヤの祭りや服装、食事などを重んじ、貧しい人々へは無料給食の提供をするなど、躓きを取り除くためにシュラム氏がこれまで取り組んできた働きを紹介した。
一方で、ユダヤ人は「あなたの光に、わたしたちは光を見る」(詩篇36:10)と言われるような存在ではあるが、「私たち(ユダヤ人)も、イエスがなければ光とはなれない」とシュラム氏。多くの人道的支援がイスラエルへ向けられているが、「ユダヤ人のためにするべきことは、何よりも福音を伝えることだ」と強調した。