英国国立社会研究センターが英国人を対象とした宗教信仰の意識を調査したところ、自分をキリスト教徒と自認する人が25年前の調査と比べて急速に減少していることがわかった。
4千人以上を対象に実施した調査によると、自分をキリスト教徒と思っている人は全体の半分にとどまった。25年前の調査では66%だった。
減少の主な要因は英国国教会の信徒数の減少とみられている。調査対象となった人のうち国教会信徒と答えた人は23%で、前回(1983年)の40%を大きく下回っている。
また、自分を国教会信徒と答えた人の半分は、過去に一度も教会に行ったことがないという。
キリスト教徒以外の宗教を信じる人は前回の2%から7%へと増加した。国外から他民族移民が増加したことが影響したとみられている。
いずれの宗教にも属さないと答えた人は全体の43%で、前回の31%から大幅に増加した。
米国で行われた宗教観に関する調査と連携して用意した設問に対する回答で、宗教信仰に対する意識は米国人のほうが英国人よりもはるかに強いことがわかった。
米国人のうち神の存在を「確信している」と答えたのは全体の59%だったのに対し、英国人では17%だった。米国人のうち自分を「無神論者または不可知論者」と考えている人は全体のわずか8%だが、英国人では37%に上った。
調査では、「特定宗教への所属感」、「神の存在への信仰」、「礼拝など宗教儀式への参加」のいずれか2つまで当てはまるが3つ全てではない人の割合を算出した。これによると、該当者は米国人の24%であるのに対し、英国人は36%とやや上回った。
設問「宗教的に熱心な人は他人に対して不寛容だと思う」と答えた人は英国人の73%だったが米国では66%と、宗教信者に対する認識に差が見られた。
困難に直面したとき、宗教信仰が何らかの精神的安息をもたらすと考える人は英国人の79%、米国人の95%と両者に差はあるものの高い割合を示した。