【CJC=東京】英リバプールのバウンティ・ハウス・ホテルは敬虔なキリスト者のベンジャミン・ヴォゲレンザン氏とシャロン夫人のカップルが経営している。そこに1カ月滞在していたイスラム教徒のエリッカ・タジ氏(女性)から、夫妻は執拗に非難の声を浴びせられたとして訴えられた。
夫妻は宗教的に問題になる、脅したり、罵ったり、侮辱するような言葉は使っていない、と主張、地裁のリチャード・クランシー判事は12月9日、タジ氏の訴えを却下した。
約1年半前イスラム教に改宗した同氏は病院での授業に出席するため、ヴォゲレンザン夫妻の経営するホテルに1カ月滞在した。授業の最終日にヒジャーブ(イスラム教徒の女性の顔を隠すベール)を被ったところ、夫妻が激怒し、ヴォゲレンザン氏から殺人者とかテロリストだと言われた、と裁判で主張した。
さらにヴォゲレンザン氏が、預言者ムハンマドを殺人者とか将軍と呼び、サダム・フセインやヒットラーにたとえた、と語った。
一方、夫妻は一切を否定し、タジ氏がイエスは力の弱い預言者であり、聖書は真理ではない、と語った、と主張した。ただ夫人がヒジャブを奴隷がかぶるものだ、と言ったことは認め、ヒットラーやネロ、毛沢東と言った歴史上の人物の名を挙げたのは軽率だった、と語った。
夫妻が訴えられてからというもの、ホテルの客数は激減した、タジ氏は商売をダメにしようとしている、とヴォゲレンザン氏。クランシー判事は夫妻に、宗教と政治は、どちらも譲らないのだがら「全体を燃えつくす発火点」になる、と諭した。