イラン政府が同国の全学校にイスラム教聖職者を1人ずつ任命・配置する方針であることが1日、わかった。改革派紙「ハヤテノ」の情報としてAFP通信が伝えた。
同紙が報じた教育省高官の話によると、政府は「学校付き聖職者の恒久任用」計画の詳細を詰めており、任命された聖職者は集団礼拝を執り行ったり、校内における宗教問題や宗教的にあいまいな事柄について判断を下す権限を持つようになるという。
こうした動きは、イランの最高指導者ハメネイ師が「西洋の教育は生徒たちに宗教を疑問視させる」と批判したことをきっかけとした、教育のイスラム化計画の一環とみられる。
イランはイスラム教シーア派を国教とし、国民の90%が同派。また9%が同じイスラム教のスンニ派に属している。残りの1%としてユダヤ教やキリスト教諸派なども建前では公認されているが、イスラム教徒として生まれた者が他宗教に改宗することは許されておらず、発覚した場合は死刑に処せられる。
米国務省は10月26日に発表した世界各国の宗教の自由に関する報告書(09年度版)で、北朝鮮や中国などを含め、イランを宗教の自由について「特に懸念される国」に指定している。