【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は3月23日、1週間にわたるアフリカ司牧訪問を終えた。
バチカン放送(日本語電子版)によると、20日、最初の訪問国カメルーンからアンゴラの首都ルアンダにアリタリア航空機で向かった教皇は正午過ぎ、ルアンダ国際空港でジョゼ・エドゥアルド・ドス・サントス大統領らの歓迎を受けた
挨拶の冒頭で教皇は、前回のヨハネ・パウロ2世の歴史的訪問を振り返り、長い内戦の苦しみを越え、正義と平和と連帯の社会を築くようアンゴラ国民に呼びかけたそのメッセージを想起した。
教皇は同日午後、大統領官邸でジョゼ・エドゥアルド・ドス・サントス大統領と個人会談を持った後、アンゴラの政治家および各界代表者と駐在の外交団と会見した。
一連の会見で、教皇は人権の尊重、透明な政府、司法官の独立、報道の自由、正直な行政、教育・医療施設の整備などを取り組むべき課題として挙げ、特に根本的な回心をもって贈賄を絶つ必要を強調した。また、社会の基礎である家庭が、貧困や失業、病気、難民生活などの理由で脅かされている状態を注視、中でも女性や少女に対する暴力や性的搾取、堕胎の横行などに深い憂慮を表明した。さらにエイズの影響を受けた家庭をはじめ、家庭の支援に力を尽くし、男性と女性が調和のもとに補い合い、平等な尊厳を推進できるよう努力するカトリック教会の方針を示した。
教皇は21日、ルアンダ市内の聖パウロ教会で、アンゴラとサントメ・プリンシペの司教、司祭、助祭、修道者、教会運動関係者、カテキスタらのために、ミサを捧げた。 同日午後、ルアンダ市内の競技場で若者たちの集いに出席した教皇は、まさにその場所で1992年に当時の教皇ヨハネ・パウロ二世と若者の集会が行なわれたことに言及、「今日、私もペトロの後継者として、同じ愛を心にあふれさせ、イエス・キリストのうちに皆さんすべてを抱擁するためにやって来た」と挨拶した。
「見よ、わたしは万物を新しくする」(黙示録21・5)をテーマに掲げたこの集いで、教皇は若者たちに「神は私たちを変え、新しくする」と強調、その刷新は神からの力を受けて心の内側から始まるのであり、未来への跳躍の力は自分たちの中にある、と述べた。
競技場の入り口付近で、集会の直前に、密集した群集が押し合い、少女2人が犠牲となり、数人の負傷者も出た。
22日、教皇は首都ルアンダで、市民のためにミサを捧げた。アンゴラの司教始め、南部アフリカ司教ミーティング(IMBISA)の司教らが多数出席、教皇とミサを共同司式した。
ミサの冒頭に教皇は、前日の事故で命を落とした2人の少女を深く悼み、このミサを亡くなった2人のためにも捧げたいと述べた。説教で教皇は、アフリカ全体に正義と平和、和解を強く祈り求めるよう人々を招いた。ミサの後半、アンジェラスの祈りで、教皇は今秋開催の第2回アフリカ特別シノドスの実りを人々の祈りに託すと共に、アフリカ湖畔地方に平和を訴えた。
同日午後、市内の聖アントニオ教会で、教皇は女性の地位向上を目指すカトリック系運動の関係者らと会見した。教会と社会は女性の存在によって計り知れない豊かさを得ている、と教皇は述べ、男女の平等な尊厳を守り、それぞれの特色ある賜物を認識し、共通善のために力を合わせることができるようにと祈った。
教皇は、アフリカ訪問最終日の23日朝、教皇はアンゴラの首都ルアンダの国際空港で送別式に臨み、最後のアピールとして、食糧・仕事・住居など基本的必要にも事欠く貧しい人々への関心と連帯、戦争や差別によって国を追われた人々の保護、愛の文明を築くための赦しと和解・友愛をアフリカと全世界にもう一度呼び掛けた。
教皇は同日夕、ローマに帰着した。