米中西部イリノイ州メアリービルの第一バプテスト教会で、8日に行われていた主日礼拝に男が割り入り、説教中の牧師を銃殺した事件で、犯人のテリー・J・セドラセック容疑者(27)が第一級殺人容疑で起訴された。
セドラセック容疑者は、礼拝中に通路を通り説教壇の前まで歩み寄り、説教中のフレッド・ウィンターズ主任牧師(45)と短い言葉を交わした後、いきなり銃を4発、発砲。ウィンターズ牧師は内3発を受け、1発が胸部に命中して死亡した。
その後銃が弾詰まりを起こし、セドラセック容疑者はナイフを取り出したが、近くにいた信徒2人が取り押さえた。2人は容疑者との取っ組み合いで軽傷を負っており、検察当局は2人に対する暴行でも同容疑者を起訴した。
セドラセック容疑者はナイフで自殺を図ろうとしたため重症を負っており、現在、セントルイス病院で治療を受けている。
犯行の動機については依然調査中だが、同州トロイ近くの容疑者宅で犯行当日に「死の日(death day)」と書かかれたスケジュール表が発見されている。
一方、一部の米メディアは、セドラセック容疑者がダニを媒介とする炎症性疾患の「ライム病」に感染後、感染を原因とした精神疾患で苦しんでいたと伝えている。セドラセック容疑者の母親は地元紙「セントルイス・ポスト・ディスパッチ」に対して、セドラセック容疑者が高校時代にダニにかまれて感染後、生活に異変が見られるようになったと話した。
事件発生時に通路側の席に座っていた男性は、AP通信のインタビューに対して、説教壇でメッセージを伝えていたウィンターズ牧師は一端話を止め、セドラセック容疑者に「おはよう。どうしましたか?」と語ったと、当時の様子を振り返った。
教会の牧師が説教中に銃殺されるという衝撃的な事件であったが、男性は「もし我々が犯人の男を憎めば、フレッド牧師は栄光を受けないだろう。また、神も栄光を受けないだろう」「我々は男のために、また彼の救いのために祈る」と答えた。
ウィンターズ牧師は1987年に同教会の主任牧師として赴任して以来、20年以上にわたって同教会を牧会。イリノイ・バプテスト州協会前会長や、中西部バプテスト神学校の非常勤講師などを務めていた。
南部バプテスト神学校でウィンターズ牧師を教えた、トム・S・レイナー氏(ライフウェイ・クリスチャン・リソーシーズ社社長兼CEO)は、ウィンターズ牧師が「友であり、宣教における共労者」であったと語り、事件を悲しんだ。
第一バプテスト教会では12日午後には、一般からの訪問を受け入れる時間を設ける。葬儀は13日午前に行われる予定で、納棺式は家族だけで執り行われることになる。