キリスト教のペンテコステ・カリスマ運動の研究援助を目的に、南カリフォルニア大学(USC)へこのほど、ジョン・テンプルトン財団から690万ドル(約6億7000万円)の寄付が寄せられ、同大文学芸術科学学部の宗教・市民文化センターに「ペンテコステ・カリスマ研究助成制度(PCRI)」が新設されることになった。同運動の研究援助を目的とした寄付としては今回の寄付は最高額で、近年急速に拡大し、全世界で5億人規模にまで広がったとされる同運動の学術研究が本格化することになる。
今回設置されたPCRIは、同運動の原動力、市民社会・宗教界における同運動の影響などの解明を目指す諸研究を援助し、ペンテコステ・カリスマ運動のほか、ローマ・カトリック教会やプロテスタント主流派で見られる様々な刷新運動への学術的な枠組みを提供することを目的としている。計画では、アフリカ、アジア、南米、旧ソビエト連邦の4つの地域における社会学的な研究が助成対象となる。
同大の宗教・市民文化センター長で、『世界的なペンテコステ運動:キリスト教の社会関与における新たな側面』の著者として知られるドナルド・ミラー氏は、「我々の目的は、(ペンテコステ・カリスマ運動に関する)世界的な研究協力を活性化させ、今後数年のうちに(ペンテコステ・カリスマ運動についての)議論を形成できるようなプロジェクトを立ち上げることだ」と、PCRIの目的を説明した。
具体的には今後、各地域の研究機関最大7件に対して、また個人・小規模な研究チーム最大15件に対して、計350万ドル(約3億4000万円)の助成を行うほか、米国のペンテコステ・カリスマ運動誕生の地であるロサンゼルスにおける同運動の研究を促進し、学術的なリソース構築などを目指す。
ペンテコステ・カリスマ運動に関する研究の助成金の申し込みはすでに2月1日より開始されており、希望者は今年8月1日までに研究の趣意書を提出。同10月1日には一次審査の結果が発表され、審査を通過した研究については、さらに詳細な計画書の提出が求められる。来年2月15日には仮結果が発表され、必要があれば研究計画に対して修正が求められ、同4月1日に最終的な結果が発表される。今回の募集による助成対象期間は、2010年5月1日から2012年5月31日までとなる。
詳しくは、「ペンテコステ・カリスマ研究助成制度(PCRI)」のウェブサイト(英語)で。