民主党のバラク・オバマ上院議員が米史上初となるアフリカ系大統領当選を決めたが、数名の著名な福音主義キリスト教指導者は、オバマ政権と共同で活動することを楽観的に捉えているようだ。
福音主義の指導者らは、福音主義とオバマ陣営の間の違いが依然として存在し続けることを認めるが、妊娠中絶や同性愛に関して両グループの間で一致点を模索しつつある福音主義キリスト教徒が増えていることにも言及した。
米国福音同盟(NAE)副会長のリチャード・シジック牧師は、「過去に比べて戦略が非常に異なる。我々(中道派福音主義)の戦略は共通の益を追及すること。つまり、福音主義者として私たちは私たちに同意しない人々と協力していく方法を学んだということだ」と語った。
一方、米アトランタのマーサー大学でキリスト教倫理を専門とするデイヴィッド・ガッシー博士は、宗教右派が弱体化しているとし、より広範な課題に向けて変化を与えるかどうかは右派の決断にかかっているとした。
ガッシー博士は、「私は福音主義右派あるいはキリスト教右派と米国のその他のグループや他の福音主義のコミュニティーの間には明確な裂け目があると考えている」と述べた。博士は、キリスト教右派とその他の福音主義の団体との間の亀裂が永久に続くことを疑問視し、右派と対比して中道派や進歩的な福音主義者は拷問、環境、移民、核兵器製造などの課題に関して政府や新しい政権と協働するための「良いポジションについている」とした。
「『すべてに同意する必要はないが一部に関しては協力できる』という姿勢を取ることで、『神の啓示が示されている』という姿勢よりも、これからの4年間、私たちは建設的な行動者となるための良いポジションに立つことができる。なぜなら、バラク・オバマが選挙に勝ったからだ」と博士は主張した。
シジック氏とガッシー氏の両氏が、社会正義の問題を倫理問題として重要だと捉える福音主義者が増加しており、福音主義の展望が変化していると指摘している。
シジック氏は、「この大統領は単に手法を変革するという観点からではなく、倫理問題の複雑さという観点から諸問題を理解していることから、デイヴィッド自身がそう表現したように、私も事態を楽観的に見ている。これは良い兆候だ」と述べた。
選挙直後に行なわれた出口調査によれば、オバマ氏が宗教を持った投票者の間で大幅な支持を得ていたことが示されている。
福音主義キリスト者においてはオバマ氏が24%対75%でジョン・マケイン氏に大幅に負けていたとは言え、04年の民主党大統領候補ジョン・ケリー氏に比べて5%も高い得票率をあげたことは注目を集める。