日本で初めてとなる列福式が24日正午から、長崎県営球場「ビックNスタジアム」(長崎市松山町)で始まる。今回福者に列せられる「ペトロ岐部と百八十七殉教者」は江戸初期(1603〜39年)、九州や山口、広島、京都、大阪、山形で処刑された司祭や宣教師5人と一般信者183人。一度にこれだけ多くの日本人が列福されるのは1867年以来となる。
教皇の代理として列福を宣言するジョゼ・サライバ・マルティンス枢機卿は前日23日、殉教地の一つである長崎県雲仙市の「雲仙地獄」を訪問。列福式実行委員長の高見三明カトリック長崎大司教らとともに、同地にあるキリシタン殉教碑を訪れ、聖書を朗読し祈りを捧げた。また、同日夜には大浦天主堂など5つの教会で列福式の前夜祭が行なわれ、多くの信徒が参加。約400年前に信仰を守り、命を落とした殉教者らに思いをはせ、祈りを捧げた。
教皇ベネディクト16世も同日、バチカンで行なわれた集会で長崎での列福式を巡礼者らに紹介。バチカン放送局(日本語電子版)によれば、教皇はイタリア語で「明日、日本の長崎で、188人の殉教者の列福式が行われます。これらの人々は、すべて、17世紀前半に殉教した日本の男性と女性たちです。日本のカトリック共同体と、日本全体にとって重要なこの機会に、私の精神的一致をお約束します」と語り、英語で「長崎で明日行われるペトロ岐部と187殉教者の列福式に先立って、日本の兄弟姉妹たちと喜びを共にしょうではありませんか。殉教者たちのキリストにおける罪と死への勝利が、私たちを希望と勇気で満たしてくれますように」と祈りを捧げた。
今回の列福は、1981年に前ローマ教皇のヨハネ・パウロ2世が日本の殉教者について言及し、その信仰を顕彰するように語ったのがきっかけとなった。日本カトリック司教協議会が同年から正式に調査を開始し、96年には教皇庁へ列福認定の許可を申請。昨年6月に正式に列福が決定した。
188人の中には、遠藤周作の小説「銃と十字架」にも登場し、マカオへの追放後、約2年間かけて徒歩でローマまで向かい、「世界を歩いた神父」として知られるペトロ岐部(1587〜1639)、天正遣欧使節の1人としてローマを訪問したジュリアン中浦(1568〜1633)、大阪最後の宣教師とされているディオゴ結城(1574〜1636)らが含まれている。
日本ではこれまでに、「日本二十六聖人」ら42人の聖人と、205人の福者がいる。福者は聖人に準じた称号として与えられるもので、最近ではマザー・テレサが選ばれており、05年に逝去した前ローマ教皇、故ヨハネ・パウロ2世についても、現在列福のための調査が始められている。