「少年よ、大志をいだけ」と言葉を残したウィリアム・スミス・クラーク。開校後の札幌農学校で自然科学を教える傍ら、教え子らに福音を伝えた。帰国までの8カ月でほぼ全員がキリストを受け入れ、内村鑑三や新渡戸稲造らを信仰へと導いた。教師クラークを通して現れた神の御業はあまりにも大きい。
第1回日本伝道会議(1974年)と同年、ローザンヌ世界伝道会議が開かれた。米宣教学者ルイス・ブッシュが福音に抵抗する地域として指摘した北緯10〜40度には日本も含まれる。日本の福音化は世界伝道における大きな課題だ。
古来の制度と風習が根強く残る日本社会。この国を福音へと導くことの難しさは、もはや世界的常識なのか。かつて日本に宣教師を派遣した欧米教会も、現在は自教会の維持で精一杯だ。
一方、教会が目覚しい発展を遂げた国々も多い。多くはその経済的水準から発展途上国と呼ばれるが、現地教会の伝道資源と発展性は先進国教会の水準にひけをとらない。むしろ霊的先進国と言えるほどだ。
日本の福音化を実現するうえで、これら霊的先進国に伝道支援を求めることを改めて考えるべきかもしれない。伝道戦略、財政システムなど学べることは多い。また、対価として経済や技術の援助など日本ができることも少なくない。
疲弊した教会が他宗教や金銭至上主義に迎合することは未然に防ぎたい。福音の正論が通用しなくなれば非常に危険だ。伝道の難しい日本の教会からこそ海外に希望の証を発信し続けたい。