【CJC=東京】フィリピン・カトリック教会が、ベニグノ・アキノ大統領を破門する可能性がある、と報じたカトリック放送『ラジオ・ベリタス』が、原稿の誤りだった、と謝罪した。
司教会議会長ネレオ・オッチマル司教とのインタビューの際に、同氏が家族計画施策を推進するなら、教会は何らかの制裁を科す可能性がある、と述べたもの。
破門も考えられるか、との質問に、オッチマール司教は、「可能性はある。しかし、今プロクシメイトな可能性がある、と見ているわけではない」と答えたが、放送原稿は、「見ているわけではない」という個所が抜けていた。
オッチマル司教は、事態明確化のため、現段階で、破門は論理的な可能性だけだ、と釈明した。
カトリック教会の影響が強いフィリピンでは、人口妊娠中絶は事実上の完全禁止。しかし人口増加率は年2%近く、民間調査機関によると、国民の68%が人工避妊を支持している。
貧困削減のためには人口問題の解決が重要との姿勢から、コンドームやピルを使った人工避妊を支援する『人口抑制』法案が提出された。
法案は政府が事実上、無料で家族計画に必要なサービスを提供し、学校でも性教育を行うと規定。カトリック教会に配慮し、家族計画は強制ではなく、あくまでもカップルの意思を尊重するとしている。
アキノ大統領は9月28日、訪問先の米国で「政府は、家族計画を必要とする人々を支援する義務がある」と、法案への支持を表明したことに教会側は「神の教えに背き、生命倫理上問題がある」と反発した。その中でカトリック司教協議会の議長が、ラジオ番組で「大統領が人工的な避妊を支持するのであれば、破門の可能性もある」と警告した、と報じられたもの。