フィリピンのカトリック司教協議会は、若い世代への聖書普及を図り、聖書の各シーンを画像で伝える「バイブルアニメ」の配信を始めた。フィリピン聖書協会とアニメ製作会社が協力して製作。若者の身近なアイテムである携帯電話で、わかりやすく聖書のメッセージを伝える狙いだ。
サービスに登録すると、「金持ちとラザロ」「10人のらい病人」「一匹の羊・一枚の銀貨・放蕩息子」などの各シーンが毎週1回、聖句と共にアニメーションで配信される。料金は1ダウンロード当たり5ペソ(約10円)。
インフラ整備がまだ続くフィリピンでは、インターネットの普及率もまだ低く、一般家庭でのパソコン所有はまれだ。しかし、携帯電話は登場後、爆発的な勢いで拡大。携帯でのバイブルアニメ配信が若い世代への宣教において、効果的な役割を果たすことが期待されている。
カトリック教会の聖職者らは、「このプロジェクトは特に若年層の聖書離れに対する危機感が生み出したもの」と語る。フィリピン聖書協会06年に行った調査によると、カトリック信者の60%が自分の聖書を持っておらず、持っていても日常的に読まれていないということが明らかになっている。国民の80%以上がカトリック信者というアジア唯一のキリスト教国フィリピンとしては憂慮すべき事態である。
一方、ある聖職者は、「この数字は非常に衝撃的なことではありますが、逆に言えば、神様の御言葉に対する飢え乾きがある若年層に、聖書を伝え広める機会でもあります」と、現状を「チャンス」として捉えている。
フィリピン聖書協会は「私たちは真に神の言葉に従い伝えていくのであれば、積極的にあらゆるメディアを用いていく必要があります。もちろんコンピューターも例外ではありません」と、メディアの宣教への利用に積極的な姿勢を示した。