「金持ちが神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通るほうがもっとやさしい」(マタイ19:24)。この聖書の言葉を支持する内容の調査結果が最近発表された。米国の非営利世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」は、貧しい国の人々よりも、豊かな国の人々の方が、その生活の中心に占める「宗教」の影響が低いという結果を発表した。
調査結果は、各国の「信心深さ」と経済状態の間に強い関係があることを示し、世界でも最も貧しい国が集中するアフリカやアジアでは、「信心深さ」において最も高いレベルとなったが、カナダや日本、イスラエルは「信心深さ」においては最も低いレベルとなり、経済的に豊かな西欧諸国も全体的に非宗教的な国という結果が出された。
一方、最も豊かな国の一つに当たる米国は例外で、欧州よりも「信心深い」国となり、隣国メキシコなど米国よりも経済状態がよくない国と同じレベルとなった。また、クウェートなどの石油産出国も経済状態から予想されるより、「信心深い」国であるという結果が得られた。
調査報告では宗教と道徳性の関係についても扱われており、アフリカ、アジア、中東では神に対する信仰が道徳性を持つのに必要な要素となるが、カナダや日本では道徳性を持つことに、神を信じることが必ずしも必要ではないということが指摘されている。欧州においては、信仰なしに道徳性を持つことが可能であるとされた。
米国について意見が分かれ、道徳性を持つためには信仰が「必要である」とする意見が51パーセントある一方、「必要ではない」とする意見も41パーセントに上った。
また、過去5年間で良い価値観、道徳性を持つために神を信じることを必要と答える人の割合は、7ヶ国で増加し、10ヶ国で変わらず、13ヶ国で減少するという結果が得られた。東欧諸国、インド、ケニヤで強い減少傾向が見られたという。
調査は、様々なテーマを扱う世界規模の世論調査「ピュー・グローバル・アティチューズ・プロジェクト」の一環として行われた。