【CJC=東京】イラン北西部にある、アルメニア使徒教会の有名な「黒の教会」(聖タダウス教会)から最後の司祭が立ち去ってから半世紀以上が過ぎた、という書き出しでロイター通信が同教会の現状を伝えている。司祭の居室の壁に飾られているのはイエスの肖像ではなく、現体制の創設者アヤトラ・ルホラ・ホメイニ氏のものだ。
しかしイラン政府は、トルコ、アルメニア両国との国境近くの山岳部にある、この中世由来の教会の現状こそ、イスラム教以外の宗教の権利を保護していることを示すものだ、と言う。
米国などは、イランがキリスト教を始め少数派宗教を差別している、とイランを非難してきた。ただテヘランのアルメニア使徒教会主教はロイター通信に、そのような指摘は、西側の「発明」に過ぎない、と語った。
シーア派イスラム教国のイランが、「黒の教会」を国連の世界遺産に登録を申請している。イランの文化遺産、工芸、観光組織のコスロ・ファリ保存担当は「これは多宗教、多民族共存の象徴だ」からだと言う。
1979年のホメイニー師によるイラン・イスラム革命により、宗教上の最高指導者が国の最高権力を持つイスラム共和制を樹立しており、シーア派イスラームが国教となる中、キリスト者やユダヤ教徒の数は減少し、また当局の扱いについても口をつぐむようになっているのだが。しかしここのアルメニア教会の信徒は、扱いに差別はない、と「宗教による違いはない。わたしたちは皆友人なんだ」と言う。