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『新カトリック大事典』がオンラインで利用可能に 日本のキリスト教事典類で初

2016年11月4日19時56分 記者 : 坂本直子 印刷
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+『新カトリック大事典』がオンラインで利用可能に 日本のキリスト教事典類で初
研究社オンライン・ディクショナリー(KOD)で利用可能になった『新カトリック大事典』(画像:上智大学提供)
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上智大学(東京都千代田区)は、『新カトリック大事典』が研究社オンライン・ディクショナリー(KOD)で利用可能になったことを発表した。キリスト教の大事典がオンライン化されるのは、日本では初めてだという。事典の電子化・オンライン化に当たり、同大学内の新カトリック大事典編纂(へんさん)委員会事務局で話を聞いた。

全4巻から成る『新カトリック大事典』は、補遺版を含め1万5千項目を収録する百科事典。1996年に第1巻が出版されて以降、13年かけて全4巻を世に送り出してきた。全て書き下ろし原稿で、総執筆者数は900人に上る。執筆者の範囲は、国内外を含むカトリックの専門家のみならず他教派、さらにキリスト教以外の専門家に及ぶ。1962年から65年まで開催された第2バチカン公会議以後のカトリック教会の現状を網羅するだけでなく、教会史やキリシタン研究などの歴史的項目、キリスト教諸教会、他宗教関連の項目も充実し、さらに芸術、人文科学、社会科学、自然科学の項目も幅広く取り上げ、利用価値の非常に大きい事典として親しまれてきた。

電子化・オンライン化への動きは2010年頃から始まり、編纂委員会では5年以上の月日をかけて作業を行ってきた。事典の電子化は、紙に印刷された文字をそのまま電子化していくような単純な作業ではなく、再度、紙版の内容を確認していくという作業が必要となる。その過程で誤植や内容上の誤りなども見つかり、点検作業に膨大な時間を費やしたという。

多大な労力を要したが、電子化した事典をさらにインターネット上で利用可能にしたこと(オンライン化)により、「事典に含まれ、蓄えられた知識が流動化し、再び生命を持つ可能性の現実化につながった」という。編集実務委員で執筆者でもある石井祥裕さんは、「今回の電子化に当たっては、教会を囲む世の中の変貌に対応して、多少新しい項目も加えた。紙の事典であれば、これらの項目は改訂・補充版が出るまで待たなければならなかった」と話した。

また、事典の電子化は、使用する側にとっても紙の事典とは異なる利便性を持つ。KODでは、同事典の全テキストを収容しているのはもちろん、図版については権利上の問題で省略されているものもあるが、検索は見出し語の読み、表記形に対応している。また、固有名など一部の見出しについては、欧文からの検索にも対応し、目次から項目をたどることができる。聖書関係の項目ではヘブライ語やギリシャ語で見出し語が表記されているのも、大きな特徴となっている。

さらに、1つの項目を開けば、それと関連する主要な言葉をクリックしてすぐに調べることができるオンライン事典の特徴を生かし、次々に関連する知識を得ることができる。09年に第4巻が出版された際、編纂委員長の高柳俊一・上智大学名誉教授が「次世代のカトリック大事典はいわゆるペーパレスとなり、パソコン画面上で読まれるものになるであろう」と述べていたことが、まさに現実のものとなった。

『新カトリック大事典』がオンラインで利用可能に 日本のキリスト教事典類で初
上智大学内にある新カトリック大事典編纂(へんさん)委員会事務局で。左から、編纂委員長の高柳俊一・上智大学名誉教授、編纂実務委員の石原良明さん、校閲などを担当する髙原夏希さん、編纂実務委員の石井祥裕さん。

同事典の編纂事業は、1970年代に始まり、以来30年余りの年月が費やされてきた。その間に技術の革新が進み、編纂作業は専用原稿用紙でのやりとりから、フロッピーディスクへと変わり、さらに電子メールで原稿を受け取り、整理・編集を行い、出版社にはメモリースティックを渡す、というように変わっていった。電子化の過程でも、インターネットを利用することで、大量のデータを瞬時にやりとりしてきた。

編纂委員会はこうした流れを、「『知識』は『情報』という言葉に取って変わりつつある」と受け止めている。その一方で、高柳編纂委員長は「猛スピードで膨大な量が入ってくる現代の情報量を、人間性を豊かに発展させるための障害とするのではなく、緊張関係をとどめつつも、ポジティブな性格を取り込むことが必要」だとし、「その意味では、『新カトリック大事典』は、人類が未来に進んで行くための奉仕を使命としている」と同事典の究極の役割を語った。

第2次世界大戦を挟んだ1940年から60年という激動の時代に、同事典の先駆といえる『カトリック大辞典』(全5巻、冨山房)が出版されている。それから36年後に『新カトリック大事典』の第1巻が刊行された。そして、さらに20年たった今、電子化・オンライン化という新しい形でその役割を受け継ぐことになる。高柳編纂委員長は、「キリスト教を知るためのツールとして、若い人にぜひ役立ててほしい。キリスト教に関するアカデミックな業績を概観するのにも便利なので使ってみてほしい」と話した。

『新カトリック大事典』がオンラインで利用可能に 日本のキリスト教事典類で初
『新カトリック大事典』の先駆といえる『カトリック大辞典』。1940年から60年にかけて、富山房から刊行された。

編纂委員会は今後、五十音順の目次や検索でしか項目にたどりつけないものを検索しやすくしたり、どのような項目が収録されているか分かりやすく案内する分野別項目案内を搭載したりするなど改善を進め、より利用しやすくなるよう工夫を重ねていきたいとしている。

KODで『新カトリック大事典』を利用するには、KODの会員契約(個人:6カ月3240円〜、法人:1年5万4000円〜)をした上で、追加オプション辞書(個人:6カ月3240円〜、法人:1年2万7000円〜)として申し込むことで利用可能。現在は、同事典のみの単独での申し込みはできないが、来年4月からは単独での申し込みが可能となる。

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