【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)が10月25日、火葬に関する新指針を明らかにした。火葬後の遺灰を海にまいたり自宅に置いたりしてはいけないと規定している。
火葬後の遺灰は教会の墓地など「神聖な場所」に収めなければならないとし、遺灰を親族の間で分けたり、遺品やジュエリーなどに入れたりするなどして保管することは認めない方針を打ち出している。
カトリック教会は20世紀後半から火葬を容認してきたものの、今回の指針には、火葬が「死についての誤った考え」を生じさせかねないというバチカンの懸念が見える。
火葬が普及するに伴い、カトリックの教えに反する「新たな思想」が広まりつつあるとして、バチカンは自然崇拝や自然主義、ニヒリズム(真理に対する極度の懐疑論)を特に問題視。そうした理由から火葬を選ぶのであれば、カトリックの埋葬は受けられないという。
カトリックの教えでは、人は肉体も魂も全て復活する。指針では火葬について「神がその全能性において遺体に新たな生命を与える妨げにはならない」としながらも、死者の体が神聖なものとして扱われない懸念を生じさせると指摘。「教会は遺体を埋葬(土葬)することによって、その遺体のよみがえりにおける信仰を確かなものとし、その人格の一部としての肉体に対する多大な尊敬の念を示すことを意図している」とする。
こうした理由から、死者の神聖さを表すためには土葬が最善だとしながらも、火葬には衛生面や社会、経済面で正当化できる理由があるとは認めている。