無認可保育所「託児所ちびっこBOY(ボーイ)」(神奈川県平塚市)で昨年12月、生後4カ月の男児が死亡した事件で、神奈川県警は21日、当時保育士として勤務していた角田(つのだ)悠輔容疑者(34)=横浜市戸塚区=を傷害致死容疑で逮捕した。男児に暴行を加え、死なせた疑いが強まったためだという。角田容疑者は「やっていない」と容疑を否認している。共同通信などが伝えた。
同通信によると、角田容疑者は昨年12月6日、託児所ちびっこBOYで、当時生後4カ月だった出縄望翔(いでなわ・りんと)くん=平塚市南原=に暴行を加え、脳挫滅で死亡させた疑いが持たれている。
毎日新聞と朝日新聞によると、望翔くんは母親と知人女性の3人暮らしで、母親が働いていたため、知人女性が6日午前0時ごろ、託児所ちびっこBOYに預けた。同日午前4時半ごろ、角田容疑者が「息をしていない」と119番通報。望翔くんは心肺停止の状態で、病院に運ばれたが死亡した。目立った外傷はなかったものの、司法解剖の結果、望翔くんは頭を骨折しており、脳に激しい損傷を受けたことによる脳挫滅で死亡した疑いがあることが分かったという。
望翔くんは預けられる前は特に変わった様子はなく、託児所ちびっこBOYでは、他の乳幼児数人とベッドに寝かされていた。時事通信によると、角田容疑者は事件前日の5日午後8時ごろから勤務を開始し、事件当時は1人で世話をしていた。
NHKによると、託児所ちびっこBOYの室内に設置されたカメラの映像を調べたところ、角田容疑者が望翔くんを抱き上げた後、一緒にいなくなり、その後ベッドに戻したが、望翔くんはぐったりとして動かない状態になったという。
角田容疑者は逮捕前の今年5月、NNNの取材に対し、「ある保護者がお迎えにきて、その対応に5分ぐらいかかってしまった。その5分後に見に行ったら呼吸していなかった」と説明。望翔くんを落としてしまった可能性について問われると、「そういったことはまったくないです。落とした、ぶつけたということは、そういったことはないです」と答えていた。朝日新聞によると、今年7月には、傷害致死容疑で角田容疑者の自宅の捜索が行われていた。
昨年12月の朝日新聞の報道によると、託児所ちびっこBOYは、JR平塚駅近くの雑居ビル内にあり、複数の部屋があった。1998年に開業し、受け入れ人数は20人。生後3カ月以降の子どもを対象に、24時間対応で一時保育をしていた。
日本経済新聞の当時の報道によると、事件翌日の7日には、神奈川県が緊急の立ち入り調査を実施。事件当時に角田容疑者1人しかいなかったことを確認し、複数の職員を配置することを定めている県の基準を満たしていなかったとして、改善を求めていた。
なお、託児所ちびっこBOYの経営者である林哲也容疑者(49)=平塚市御殿=もこの日、保育所の業務などで使用していたパソコンを、捜査で必要なことを知りながら昨年12月14〜18日に壊したとして、証拠隠滅容疑で逮捕された。NHKによると、パソコンは角田容疑者が使っていたもので、林容疑者は「後で話す」と供述しているという。