松山刑務所大井造船作業場(愛媛県今治=いまばり=市)で15日朝、受刑者の男1人の所在が一時不明になった。脱走の可能性もあるとして、警察などが捜査していたが、同日昼前に敷地内の建物の屋上で見つかった。NHKが伝えた。
NHKによると、所在が一時不明になっていたのは、窃盗罪2件で服役している23歳の男。15日午前8時20分ごろ、男と同じ部屋で暮らす受刑者が、男の所在が分からないことに気付き、刑務官に伝えた。通報を受けた警察が捜査するなどしたが、約3時間後の午前11時40分ごろ、敷地内にある受刑者が生活する建物の屋上で、1人でいるところを発見。警察が身柄を確保し、松山刑務所に引き渡したという。
大井造船作業場は、松山刑務所の開放的処遇施設で、日本で唯一塀がない刑務所。民間造船所である新来島(くるしま)どっく(旧・来島どっく)の大西工場内にある。
アムネスティー日本によると、鉄筋5階建ての寮舎(友愛寮)は出入り自由で施錠されておらず、窓にも鉄格子はない。作業場内では、受刑者ではなく作業員と呼ばれ、一般従業員と一緒に作業するという。来島ドックの故坪内寿夫社長が1963年、大西工場新設時に木造平屋建ての大井作業所を開設したのが始まり。大井造船作業場に派遣されるのは、厳しい選考に合格した人たちに限られ、資格取得の勉強も充実しており、ほとんどの人が仮釈放され、約8割が鉄工の仕事、約2割が飲食などの仕事に就くという。
一方、脱走者は過去から現在(昨年11月時点)までに約20人おり、「妻に会いたい、子どもに会いたい」などの理由で脱走した人もいるという。
NHKによると、松山刑務所は受刑者の管理体制に問題がなかったか調べることにしている。