森山裕農相は28日、自民党の環太平洋連携協定(TTP)対策委員長だった昨年9月、一般社団法人「日本養鶏協会」(養鶏協、東京都中央区)の栗木鋭三会長から、「餞別(せんべつ)」として現金20万円を受け取っていたことを明らかにした。共同通信などが伝えた。
同通信によると、森山氏は昨年9月、TTP交渉が行われていた米アトランタへ出発する前、議員会館の事務所で、栗木氏から現金20万円を受領していた。朝日新聞によると、現金を受け取ったのは、アトランタへ出発する前日の昨年9月28日。
森山氏は、「餞別(せんべつ)のようなものだと思って預かったが、角が立たないように返金するよう事務所に指示した」(時事通信)と説明。実際に返金したのは受領から約5カ月後の今年2月下旬だったが、「(アトランタから)帰ってくるとすぐ入閣だったので、事務所の人間が失念していたかも知れない」(同紙)と語った。
同紙によると、森氏のほか、TTP対策委員長代理だった宮腰光寛衆院議員と西川公也元農水相も、同紙の取材に対し、現金の受領を認めた。宮腰氏の事務所は「(栗木)会長から議員会館内で20万円を預かったが、寄付の趣旨が不明だったので返金した」、西川氏の事務所は「寄付者が不明だったため返した」と返答している。
政治資金規正法は、国の補助金を受けた団体などからの寄付を原則1年間禁止しているが、ロイター通信によると、日本養鶏協会は昨年3月、農水省の「鶏卵生産者経営安定対策事業」の補助金約52億円の交付決定を受けている。
森山氏は、20万円は既に返金しており、政治資金規正法には接触しないとする認識を示している。菅義偉官房長官もこの日開いた記者会見で、「森山農水相から既に適切に処理しているとの報告を受けており、問題ない」(時事通信)と語っている。
朝日新聞によると、日本養鶏協会は栗木氏が現金を森山氏らに渡したことについて、「承知しておりません」としており、栗木氏の家族は現在、海外出張中で不在だという。
日本経済新聞によると、昨年9月にアトランタで開かれたTTP交渉には、栗木氏も森山氏らと共に参加していた。