電子機器製造メーカーの「イビデン」(岐阜県大垣市)に勤務していた30代の男性社員が2013年に自殺した問題で、大垣労働基準監督署が、男性の上司によるパワーハラスメント(パワハラ)などが自殺の原因だったとし、労災と認定していたという。遺族は、イビデンと上司に慰謝料など計約1億500万円の損害賠償を求めて岐阜地裁に提訴しており、10日には第1回の口頭弁論が開かれる。中日新聞などが伝えた。
同紙によると、男性は岐阜県内の工場で設計業務を担当しており、13年4月ごろから、当時の上司から暴言を浴びせられたり、他の社員の前で約30分間立たされたまま叱られたりしていたという。また、同年4月から自殺する同年10月までの残業時間は月67〜141時間に及んだという。
大垣労働基準監督署が労災認定したのは昨年1月で、男性の妻は同紙や共同通信の取材に弁護士を通して応じており、「会社は死ぬ方が悪いと思っているようで、誠意が感じられなかった」(同通信)などと提訴に踏み切った理由を話している。イビデン側は、同通信の取材に対し、遺族には誠心誠意対応したと話す一方、パワハラの有無についてはコメントを控えるとしている。
イビデンのホームページによると、1912年設立のイビデンは、電子関連事業、セラミック事業を主力事業とする会社で、連結子会社は国内16社、海外23社あり、従業員は連結で約1万4300人、単独で約3550人。