金城学院大学(愛知県名古屋市)のN1棟・N2棟およびエラ・ヒューストン記念礼拝堂が1月18日、第23回「愛知まちなみ建築賞」に選出された。同賞は、良好なまちなみ景観の形成や魅力と潤いのある街づくりに貢献すると認められる建築物や街並みを表彰するもの。2014年に完成した同大学の新しい講義棟と礼拝堂は、その屋内空間と中庭などの屋外空間が、「地域との積極的な一体感や延伸感のある街並みを具現化している」と評価された。
同大学は、1889年にアメリカ人宣教師ミセス・ランドルフが私邸の中に設立した「私立金城女学校」に始まる、キリスト教プロテスタントの精神に基づいた女性のための高等教育機関だ。常に、「これから」を生きる女性にとっての理想的な学びの環境でありたいと、 金城学院キャンパスマスタープラン「KMP21」を、2012年からの10年計画で進行している。その第1フェーズとして、学院創立125周年に当たる2014年に、今回受賞したN1棟・N2棟、エラ・ヒューストン記念礼拝堂が完成した。
礼拝堂は、学生たちが神の御言葉に聞き、御言葉に導かれて祈り、自分自身と向き合い、仲間と集う場となるようにキャンパスの中心に建てられた、同大学のシンボルだ。何より祈る人であったという第3代校長エラ・ヒューストン宣教師の「礼拝する心」を、多くの学生が受け継いでほしいという願いから、旧礼拝堂と同じ名が付けられた。イエス・キリストの象徴である「光」がデザイン・コンセプトとなっており、正面に配置された外光を採り入れた十字架からの光が、壁面の12枚の窓から外へ向かって射し出ることをイメージして設計された。この礼拝堂でささげられる礼拝がキリスト教主義教育を推進する要となり、礼拝堂ラウンジで開催されるイベントなどによってキリスト教活動がより魅力的に感じられる拠点となることが期待されている。
地上6階建てのN1棟・N2棟は、礼拝堂を囲んで円弧を描くような形状に設計されている。学生生活の中心となるN1棟には、ラーニングコモンズ、 食堂、音楽ホールなどがあり、学生たちが学部学科の枠組みを越えて共有する空間となっている。N2棟は、講義室、演習室、実習室、ピ アノレッスン室、個人練習室などが多数並ぶ、社会へ力強く羽ばたく実践力を育む施設となっている。省エネルギーやCO2排出量の削減など、環境に配慮するとともに、大規模災害が発生した場合の避難・待機所としても使用可能となっており、安心や安全に配慮した点も、受賞に際して高く評価された。これらの建物を中心にして、今後、同大学の「KMP21」は第2フェーズ、第3フェーズへと続いていくという。
同賞は1995年に創設されて以来、毎年実施されており、今回は49作品の応募があった。選考委員会の審査によって選ばれたのは、同学院の建築物(2作品)を含む7作品で、いずれも愛知の「まちなみ」および「建築」をけん引していく作品として社会的貢献度が高いと評価された。
第23回「愛知まちなみ建築賞」受賞に関する、金城学院大学への問い合わせは、金城学院大学財務部管財担当(電話:052・798・0180)まで。