教皇フランシスコは、スイスのダボスで行われた年に一度の世界経済フォーラムの指導者たちに対し、貧しい人たちを忘れてはいけないと訴えた。バチカン放送局が20日に報じた。
23日まで開かれていたこの会議には、2500人を超える参加者がおり、千人を超える企業の最高経営責任者や会社の会長ら、そして40人を超える世界の指導者たちが集まっていた。
教皇は、今日のグローバル経済を動かす人々に対し、主要な課題は「尊厳ある生活状態を達成すべく、自分よりも貧しい人たちを助けようとする」ことにあるべきで、それは「とりわけ人間的、文化的、経済的、社会的な潜在力の発展を通じて」だと述べた。
「繁栄の文化によって自らの感性を鈍くさせ、貧しい人々の叫び声に憐れみを感じることができなくなっては決していけない」と強調しつつ、「他の人々の痛みのために泣くことは、彼らの苦しみをただ共有することだけを意味するのではなく、私たちの行いが不正義や不平等の原因であることに何よりも気付くことでもある」と指摘した。
教皇は単刀直入にビジネスのリーダーたちに対し、自らの目を開き、世界の悲惨さや、自らの尊厳を否定されている兄弟姉妹たちの傷に目を向け、助けを求める彼らの叫びを心に留めずにはいられないと認めるよう訓(おし)えた。
教皇は『いつくしみの特別聖年』の勅書から引用し、「彼らの叫びが私たち自身のものとなり、そして最も大きく支配しては私たちの偽善やエゴを覆い隠すことがあまりにも多い無関心の障壁を、共に取り壊すことができますように!」と述べた。
教皇は、私たちが今日直面することを求められている重大かつ画期的な変化についても言及した。「ロボット工学や科学技術の革新の成果」である―と教皇が述べた―来るべき「第4の産業革命」については、人格の破壊―魂のない機械によって取って代わられてしまう―や、あるいは選ばれた少数の人たちの楽しみのために、地球を空虚な園へと変容させてしまう事態につながることが確実にないよう強く求めた。
最後に教皇は、地球を保護する、持続可能で総体的な発展を追求し、社会や環境の複雑な危機を克服することを助け、貧困と闘うためにビジネスの道具を用いるようにとの訴えをもってメッセージを結んだ。