米国聖公会(TEC)がアングリカン・コミュニオンへの全般的な参加を一時差し止められた。
この決定のニュースは「アングリカン・インク」のサイトが速報した。カンタベリー大聖堂での首座主教会議はこれを受けて、「臆測を避けるために」決議全文を公表した。
この動きは、アングリカン・コミュニオンの首座主教会議の終盤に、世界聖公会未来会議(GAFCON)という保守派グループに勝利がもたらされたことに伴い現れた。
首座主教会議は、ウガンダ聖公会のスタンリー・ンタガリ大主教の退席もあった長時間の会議の末、決議を採決した。
決議書には、米国聖公会がアングリカン・コミュニオンの同性婚に対する観点から外れた歩みをしていることが、「結婚の教義について当団体の多数派が支持している信仰と教えから、根本的に離れていることを表しています」とある。カナダ聖公会を引き合いに出し、「他の地域でもこのような歩みがある可能性があり、この状況をさらに悪化させかねません」ともつづられている。
決議書には、米国聖公会の行動によって引き起こされた「深い痛み」にも言及している。
決議書には、「聖書の教えから見た教会の伝統的教義は、結婚が一人の男性と一人の女性の間の誠実で、終身的な結合だということを支持している。多くの参加者はこのことを再確認しました」とあり、「全教会の一致を伴わない、教義に関する事項での一方的な行動」は、多くの首座主教たちにとって「成熟した責任と相互依存の関係からの別離」だとみなされ、「コミュニオンを傷つけ深い不信感を醸成する」と批判している。
米国聖公会はアングリカン・コミュニオンの制度や集会での議決権を失うが、オブザーバーとしての身分は残る。つまり、米国聖公会の代表はまだ出席することができる。
この動議により、米国聖公会の代表者は、異宗教間の、また全キリスト教会の集まりでの任務ができなくなる。アングリカン諮問協議会のミーティングでの投票権もなくなる。
「教義と組織に関する問題」での意思決定に参加できないということで首座主教会議は同意した。
動議は3分の2の賛同により可決した。
米国聖公会に対し、立て直しの期間を3年間取ることが許された。この問題が必ず取り扱われる、アングリカン・コミュニオンの総会は、2018年に開催される予定。
カナダ聖公会もまた、同性愛に対しリベラルな姿勢を持っており、現在はGAFCONの標的となっている。しかし、カナダ聖公会のフレッド・ヒルツ大主教は会議の中で、同性婚に関する問題は次回のカナダ聖公会総会の前に検討されることになっており、最終的な結論は出ていないと発言した。
ウガンダ聖公会の首座主教は14日、深い分裂の兆候があるため会議を退席したことを発表した。
スタンレー・ンタガリ大主教は、北米の教会に対し「アングリカン・コミュニオンの組織を最大限に破壊する決定をしたことを悔い改めるまで、アングリカン・コミュニオンのミーティングやほかの活動から自発的に撤退」するよう求める決議案を提出したとする声明を発表した。
彼は、「彼らはこの申し出に同意せず、カンタベリー大主教とその支持者も、この件をしかるべき時に実質的に取り扱うことを確約しようとしなかったのです」と述べた。
米国聖公会に対する差し止めの知らせが、彼の決定に影響したかは明らかではない。
GAFCONやそれに連なる保守派と、米国とカナダのリベラル派のそれぞれが確立した立ち位置を考慮すると、首座主教会議の前には、アングリカン・コミュニオンの実質的な一致が保たれる可能性はそれほど高くなかった。カンタベリー大主教は、カンタベリーを中心としたより緩やかな連合を形成することを望んでおり、このビジョンがどれほど現実的かはまだ分からない。
英国国教会のコミュニケーション担当部長アルン・アローラ師は、その裁可の知らせに対して次のようにツイッターに投稿した。
「イエスの愛と恵みによって行動することは、裁可についてのことではなく、共に歩むために一致して貢献し合っていく中でのことです」
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