キリスト教徒を含むエリトリア難民88人が、女性や子どもも含め、北アフリカのリビアで過激派組織「イスラム国」(IS)によって拘束されている。ISは、4月にリビアでエチオピア人キリスト教徒28人を殺害する映像を公開していおり、それからまだ2カ月もたっていない中で、再びISによる誘拐が発生した。
スウェーデンの首都ストックホルムに拠点を置く「エリトリア難民に関する国際委員会」(ICER)が7日に明らかにしたところによると、この事件は6月上旬に発生。ISの戦闘員が、リビアの首都トリポリへ向かう難民を乗せた車両を待ち伏せしていたという。
ISはイラクとシリアの広い範囲を制圧しており、リビアでも活発に活動している。キリスト教徒とイスラム教徒を分けるために、イスラム教の聖典であるコーランに対する知識を問い、判断しているという。
ICERの共同創設者であるメロン・エスタファノス氏は、目撃者や逃れた人質からの情報として、人質の多くは誘拐されることを恐れ、イスラム教徒だとうそをつき、バスに乗っていた人のうち、少なくとも9人が脱出することができた。
スーダンのニュースサイト「スーダン・トリビューン」によると、毎月数千人ものエリトリア人が、圧政から逃れるために出国しているという。難民たちはリビアへと北上し、危険な海路経由でイタリアへ入国しようと試みている。結果、ここ数年間での多くの海難事故が発生している。
各国政府は、4月に殺害されたエチオピア人キリスト教徒28人もまた、イタリアを目指していたとみている。ISは28人を殺害する模様を2本の動画に分けて投稿した。1本では人質は斬首され、もう1本では銃殺されている。
この殺害はエチオピア国内で激しい怒りを引き起こし、数万人が抗議の意を表すために首都アディスアベバを行進した。
ISはキリスト教徒を執拗に攻撃しており、制圧した多くの都市でイスラム教に改宗するか、人頭税を払うか、殺されるかを選ぶよう強要している。ISはこれまでに、欧米諸国や日本の人質らを斬首する映像も公開している。
エスタファノス氏はナイジェリアのニュースサイト「Pulse」に対し、今回の拘束事件は、ISを避けて、多くの難民たちがリビア以外を経由するルートに変更している中で起こったと述べた。
「スーダンの首都ハルトゥームからトルコを経由してギリシャへ向かう人もいますし、エジプトのカイロを経由してアレクサンドリアへ到着し、そこから船でイタリアを目指す人もいます。リビアの代わりに、トルコやカイロへ向かう人が増えるのではないかと考えています」とエスタファノス氏は話している。