マルティン・ルターによる宗教改革からちょうど500年目となる2017年に、ヨハネス・ブラームスの代表作「ドイツ・レクイエム」を演奏するコンサートを開こうと、国内で計画が進んでいる。主催するR500実行委員会では、「この偉大な楽曲は、宗教改革の精神を力強く具現化するもの」として、コンサートの実現のために支援と協力を呼び掛けている。
今回のコンサートでは、東京シンフォニア音楽監督のロバート・ライカー氏が指揮を執り、120人のオーケストラと250人の合唱団、さらに国際的なソリストによって演奏される予定。オーケストラと合唱団については、今後オーディションを行う。日程は、宗教改革記念日に合わせた10月とし、会場は交渉中。東京都内の2会場で開催することを計画している。
宗教改革は、マルティン・ルターが1517年10月31日に、ドイツのヴィッテンベルグ城教会の扉に「95カ条の論題」を張り付けたことがきっかけで始まったとされている。宗教改革により、カトリック教会からプロテスタント教会が生まれることになるが、それから5世紀を経て、両教会の信者がこの記念の年を共に祝おうと、コンサートが企画された。同実行委は、「双方の違いを認めつつ、心を合わせて神の栄光を拝し、世界の平和を呼び掛けたいと思います」としている。
同実行委によれば、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」は、16世紀に起こった宗教改革の精神を力強く具現化しているという。通常レクイエムは、カトリック教会において死者の安息を神に願い、ラテン語の祈祷文によって作曲される。しかし、ブラームスは、マルティン・ルターが訳したドイツ語版の聖書に基づいて、ブラームス自身が選んだ聖書箇所を歌詞として使用している。
一方、「ドイツ・レクイエム」というタイトルについては、一部演奏を担当した指揮者カール・マルティン・ラインターラーへの書簡で、「私は、喜んでこの曲のタイトルから『ドイツ』の名を取り去り、『人間の』と置き換えたいと公言してもいい」と述べたという逸話が残っている。
今後、同実行委では、宗教改革がこれまで一般社会にどのような変化と恩恵をもたらしたかに焦点を当て、コンサートの準備を進めていくという。また、2020年の東京オリンピックの開催も念頭に置き、その雰囲気を盛り上げるためにも、ふさわしい企画にしたいとしている。
同委員会では、コンサートの推進に当たり、企業・個人からの支援者を募っている。今後、実行委の拡大、組織化を進め、説明会の開催や文書も作成してく。コンサートに関する問い合わせは、同実行委(事務所:〒107−0052 東京都港区赤坂6−8−16−201、電話:03・3588・0738、FAX:03・3588・0731、メール:[email protected])まで。支援金の送金先は、同実行委(銀行振込:三井住友銀行 赤坂支店 普通 9038780、郵便振替:00160-0-486342)