同志社大学のクラーク記念館で昨年12月18日、「京都発のキリスト教祭服を世界に発信する」の制作発表イベントが開催された。これは、キリスト教主義学校である同志社大学の学生と、今年創業460年を迎える京都にある京友禅の老舗「千總(ちそう)」が共同して、キリスト教文化と京都の伝統産業の技術と美意識の異文化コラボレーションを目指して行ったプロジェクト。
「京都だからできる新たな祭服を」と、同大の学生らが共同して、日本の伝統文化である「京友禅」を取り入れた新しいキリスト教祭服を発案した。今回制作されたのはストール。「時代、宗派を超えて用いられ続けるストールを制作することで、現在だけでなく、未来へ向けて新たな可能性を発信できる」という思いから、ストールの制作を決めたという。
制作発表イベントでは、日本の四季とキリスト教のモチーフが染め上げられた赤、緑、紫、白のストール4点が展示された。京友禅ならではの「暈(ぼか)し」「匹田(ひった)」などの技法によって、日本の四季を象徴する桜、梅などの花々と、キリスト教に関連する動物や植物が美しく彩られた。
京友禅は、いくつも工程を重ねて仕上げていく大変手間のかかる作業だ。京都染織文化協会のサイトによると、「暈し」の技法は、「生地が濡れている間に染液につけた刷毛を何回も刷り、色を濃から淡へ次第に変化していくように描く」と説明されており、11の工程を経てようやく完成される。4本のストールのそれぞれの美しさは、このように幾重にも重ねられた工程の結晶だ。
プロジェクトのリーダーである同大神学部4年の本間優太さんは、今回のプロジェクトを通して、「あらためて祭服・装飾・シンボルなどの感覚的次元も、宗教において大きな意味を持つことを知った」と話す。そして、「豊かな色彩や装飾は人間の心を豊かにするもので、それ自体は否定できない。プロテスタント側もそれを否定するにしろ、受け入れるにしろ、もう一度しっかりこれらのことを学ぶ必要があると痛感した」と語った。