【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)で10月5日から非公開で行われたシノドス(世界代表司教会議)第3回臨時総会「福音宣教の観点から見た家庭の司牧的課題」は18日、参加者の発言などを総括した最終報告書をまとめた。報告書の内容のうち、同性愛者の受け入れをめぐる文言は修正を経ても合意に至らず、採択されなかった。
教皇は、「シノドスの参加者に、もし偽りの平静のために皆が同意し、活発な議論がなかったとしたら、私は大いなる不安とさみしさを感じただろう」と語り、報告書について同意を得られなかったものも含めて異例の公開を決めた。
報告書は、議決権を有する181人の司教のうち158人の賛成を得て採択された。報告書は来年10月の会議に再度提示される。教皇は両会議での話し合いを踏まえた上で、最終的な判断を示すと見られる。
今回のシノドスには、世界から191カ国の司教会議議長や専門家たちが集まり、家庭に関連した様々なテーマ、離婚、再婚、避妊、純潔、同性婚などについて協議した。
13日に発表された中間報告書は、民法上の結婚、離婚、再婚などさまざまな問題について司教たちが討議したことを記録。結婚は男女間のものとする見方は変えなかった。また「同性間の結び付きを、結婚と同列と考えることはできない」としてはいたが、「同性愛の人々を歓迎する」という項目があった。
カトリックがこれまでタブー視してきた同性愛や離婚に肯定的な見解を表明、同性愛者のキリスト教社会への貢献や、同性愛カップルの助け合いを認めるとの
文言が盛り込まれた中間報告書に、保守派が強く反発したため、18日に提出された最終報告書ではこうした文言がすべて削除された。
最終報告書には、同性愛カップルに神が定めた結婚や家族と同じ結びつきを認める根拠はないと明記され、「それでもなお、同性愛者については敬意と配慮をもって迎え入れなければならない」との一文だけが残されていた。しかしこの部分さえ賛成118、反対62と、採択に必要とされる3分の2の支持を得られなかった。
最終報告書は中間報告書と同様、3部、62ページにわたる協議事項をまとめたもの。各項目は電子投票システムによって賛否が問われ、いずれも過半数の賛成があった。しかし、同性愛者への対応、離婚・再婚者の聖体拝領問題については、3分の2以上の賛成を得られず、「関係者は次期シノドスまで共同の解決策を見つけていこう」と呼び掛るに留まった。
教皇は、シノドス閉会にあたり、2週間にわたる協議で見られた参加者の熱意と思いやりに言及すると共に、失望、緊張、保守派とリベラル派の示した「誘惑」についても触れた。イエスの後に従い、娼婦や取税人と食事を共にすることを恐れないのが教会であり、「教会の扉はいつも開いている」と述べた。シノドスの会場は教皇の演説に大きな拍手で応えたという。