エボラ出血熱にかかり先月退院した米国人のケント・ブラントリー医師。エボラ・ウィルスと闘い、生き残ることができたことに言い尽くせない感謝がある。
ブラントリー医師は、西アフリカのリベリアで、国際キリスト教支援団体「サービング・イン・ミッション(SIM)」(米国)の医師として、広がるエボラ熱の脅威を抑えるために働いていた。しかしある時、体の不調を感じた。検査の結果、エボラ熱に感染していることが分かり、感染を防ごうと直ちに自身を隔離した。
「妻と子どもたちがそこにいなかったことに感謝しています。もちろん、家族のそばにいたかったですが、症状が出る3日前に彼らが去っていたことに安心しました。妻の隣で目を覚ましたら、具合が悪く、子どもたちの一人が私に寄り添ってきたのであったならば、とんでもない精神的重荷になったでしょう」と、ブラントリー医師は語る。
ブラントリー医師は妻のアンバー夫人に状況を知らせ、夫人は不安ながら検査の結果を待った。
「主人がエボラ熱にかかったと電話してきたときのことは、どう説明したらいいのか分かりません」と、アンバー夫人。「覚悟はしていました。主人がエボラ熱と診断されている人たちの治療をしているのを見ていましたから。どういう結果になるのかは分かっていました。そして、それまでに皆がどういう結末を迎えたか知っていましたから。病気についての知識があるということがマイナスにも働きました。恐ろしかったです」
ブラントリー医師は最終的に米国に移され、ZMappという実験薬を投与された。また、彼の状況を聞いた世界中の人々から祈りが寄せられ、それも彼にとっては大きな支えになった。2週間後、ブラントリー医師はジョージア州アトランタ市のエモリー大学病院から退院し、今はノースカロライナ州で家族との時間を楽しんでいる。
「今はまだ回復が必要な時期です」と、ブラントリー医師。「体調が良いように見えるのは分かっていますが。でもまだ相当病み上がりの状態です」
今月初めには、また別の宣教師兼医師がエボラ熱に感染したと伝えられたが、「心がひどく痛みましたが、信仰は揺らぎません」と、SIM代表のブルース・ジョンソン氏は声明を発表した。「グローバルなミッションとして、われわれはリベリアにおけるエボラ熱の蔓延と闘い続けるため、リベリア人スタッフと共に、祈りをもって宣教チームを支えています。われわれには、闘いを続ける優秀なリベリア人医療スタッフとサポートスタッフがついています」