【CJC=東京】米ボーイスカウト連盟は公然同性愛隊員を禁止する措置を撤回する。テキサス州グレープバインで開催した全国評議会で5月23日、約1400人の評議員のうち6割以上の賛成で撤回案を採択した。2014年1月1日から発効する。ただ成人の公然同性愛者が「指導者」となることは依然禁止する。
今回の採択に至るまでには、同性愛者の権利を主張する活動家と、教会員などとの間で激しい事前運動が展開されていた。教会によって設立されたスカウト隊が多い米国で、保守派の脱退が続発する可能性もある。
同性愛者が兵役に就くことも現実となり、また同性婚を認める州も増えている米国で、ボーイスカウトが同性愛者隊員を禁止してきたことは、同性愛者の権利を巡る論議の核心になっていた。
ボーイスカウト指導部は隊員制度変更決定を、同性愛者容認に関する調査のため遅らせていた。今回の投票が、その3カ月後に行われたことも見逃せない。
ボーイスカウト運動への寄付者からの圧力も高まっていた。同性愛者の権利擁護者だけでなく、社会変革に敏感な企業スポンサーからの圧力がある一方で、全米でスカウト運動のスポンサーとしてまた支援者であった教会の影響も無視出来なかったと見られる。
全米のボーイスカウト10万隊の約70%は信仰を基盤とする組織によって創設された。約22%は市民団体が創設し、7%が教育団体によるもの。
ロイター通信は、ほぼ3万8000隊を創設し、隊員25万人を要する最大のスポンサー、モルモン教会(末日聖徒イエス・キリスト教会)が今年初め、禁止措置終了を支持すると表明したと報じている。これが、今回の採択への直接のきっかけとなったと見られる。
信仰基盤では第2位の合同メソジスト教会も禁止撤回支持の声明を発表した。同派は1万1000隊、隊員36万3000人。84隊のスポンサーとなっているカトリック教会は、これまでの論議で立場を明らかにしていない。
ロイター通信は、全米規模の調査で同性愛者の権利受け入れ支持が増加しているが、隊員、両親、指導者など20万人を対象にしたオンライン調査ではほぼ2対1で禁止維持に賛成が多い、と報じている。
同性愛者の権利擁護派は、禁止撤回支持の署名180万、禁止維持派は25万筆を集めた。
企業スポンサーでは最有力と見なされるインテル社は昨年9月、同性愛隊員禁止を継続する隊への支援停止を発表した。同社は2009年に70万ドル(約7000万円)を寄付している。大手貨物輸送企業のユナイテッド・パーセル・サービスも11月に、製薬のメルク社も追随したという。
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