【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)の改革派で、教皇候補にも挙げられたイタリアのカルロ・マリア・マルティーニ枢機卿は持病のパーキンソン病が悪化し8月31日、療養先のミラノのイエズス会修道院で死去した。85歳。葬儀は9月3日、ミラノの大聖堂(ドゥオーモ)で行われ、約2万人が集まった。イタリア内外にテレビでも中継された。
率直で分かりやすい語り方で、市民に広く愛され、葬儀前の3日間、遺体が置かれた大聖堂にはマリオ・モンティ首相を含め、約20万人が訪れた。
バチカン放送(日本語電子版)によると、同枢機卿は聖地を愛し、2002年ミラノ教区長辞任後、長年の希望通りエルサレムに居を移し、祈りと聖書研究の日々を送っていた。しかし、パーキンソン病の悪化に伴い2008年からは治療に専念するためイタリアに帰国、療養生活をしていた。
マルテイーニ枢機卿は1927年、伊北部トリノ生まれ。17歳でイエズス会に入会、25歳の時に司祭に叙階。80年、教皇ヨハネ・パウロ2世によりミラノ教区教区長(大司教)に任命された。
ミラノ教区教区長になる前に枢機卿は、ローマの教皇庁聖書学院および教皇庁グレゴリアン大学学長を歴任した。ミラノ大司教在任中、多くの人々を神のみことばである聖書に導くために「みことばの学校}と呼ばれる一連の聖書講座を教区内で開き、神のみことばに耳を傾けながらそれを黙想し、そして実際生活に生かしていこうとする、いわゆる「レクチオ・ディヴィーナ」を人々の間に浸透させるべく努力した。
生殖医療や離婚の是非、避妊具の使用に柔軟な姿勢を示し、他宗教との対話にも積極的だった。
聖書学者、教育者としても知られ、バチカンでの様々な会議では改革派の騎手的な役割を果たした。著書も聖書釈義から詩、祈りの手引きなど数多く、イタリアでベストセラーになったものもある。
伊紙『コリエーレ・デラ・セーラ』が8月に収録したインタビューでは、「教会は200年ほども時代から取り残された。官僚組織が肥大化し、儀式と服装ばかりが仰々しい」と現在のバチカンを厳しく批判していた。
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