【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は6月26日、フランシスコ教皇が、教皇庁の資金運用・管理を担当する「宗教事業協会」(バチカン銀行)の活動を点検する調査委員会を設置したと発表した。バチカン銀行の法的地位や業務実態について調査、教皇に直接報告する。改善措置を取るよう勧告も行うという。
委員会はイタリア出身のラファエル・ファリーナ枢機卿が委員長を務め、フランス出身のジャン・トーラン枢機卿ら高位聖職者の他、米国出身でハーバード大学ロースクールのメアリー・アン・グレンドン教授など5人で構成される。グレンドン教授は、駐バチカン米国大使を務めたことがあり、バチカンの内部事情に明るい。
バチカン銀行は、主に信者の寄付金と聖職者の給料を管理している。融資はしないが預金でき、送金や投資業務もする。資産の5%で株式や債券投資をしているとされている。保有資産は約71億ユーロ(約9040億円)。バチカン銀行はこれまで、マネーロンダリング(資金洗浄)やマフィアの蓄財などに使われているとの疑惑にさらされている。不正送金疑惑も浮上、イタリア当局が2010年に摘発した。欧州評議会が調べた取引実態の透明性では「不合格」となっている。しかし、バチカン銀行がバチカン市国の中にあるため、イタリア当局の捜査は難航した。
バチカン銀行は、シチリア・マフィアのマネーロンダリングの窓口に利用されたアンブロシアーノ銀行が1982年に倒産した時、マネーロンダリングに関与したという疑惑が提起された。同銀行の最大株主がバチカン銀行だったためだ。2010年、イタリア検察は、市中銀行にあるバチカン銀行の資金2300万ユーロ(約343億ウォン)を凍結し、捜査に着手した。凍結は2011年6月に解除されたが、捜査は現在も続いている。
ただ教皇の改革は大きな成果を上げられないとの見方もある。バチカン内の一部の既得権集団や、関係があるとされるマフィアの強力な抵抗を受けることは必至。バチカン銀行改革を主張していた教皇ヨハネ・パウロ1世は、即位33日後の1978年9月28日に急死、バチカンは死因を心筋梗塞と発表したが、改革策に不満を抱くマフィアと関係のある内部勢力によって暗殺されたとの疑惑が消えていない。