【CJC=東京】人権抑圧監視団体「ワールド・ウォッチ・モニター」によると、シリア正教会イブラヒム大主教(アレッポ)とギリシャ正教会のブーロス・ジャズィジ大主教は4月22日、トルコ国境付近を自動車で旅行中、何者かに拉致された、とアッシリア民主組織のジャミル・ディアルバケルリ氏が語った。
2人はこの2月に拉致されたアルメニア典礼カトリック教会のミケル・カイヤル司祭とギリシャ正教会のマヘル・マーフォウス司祭の解放の道を探ろうとしていたと言う。
自動車を運転していたファタッラ・カブウド氏は殺された。ただディアルバケルリ氏は、シリア教会筋の話として、カブウド氏が主教事務所に誘拐を伝えに来た後に、アレッポの別の場所で銃撃されたと語っている。自動車には4人乗っていたが、脱出した人の所在は不明。政府、反政府勢力双方が、拉致を相手の仕業と非難している。
シリア官営通信SANAは、2人が人道的な活動に従事しているところ、クファル・ダエル村でテロリストに拘束された、と報じている。反政府活動家は、2人が22日早朝トルコ南部から反政府勢力が制圧していたバブ・アル=ハワ国境を通過、シリアに戻った、と言う。
23日になって大主教たちが釈放されたと伝えられたが、その後否定されるなど、情報は錯綜している。
内乱が激化すると共に、シリアではイスラム教徒の間でも抗争が激化、スンニ派の最高指導者がダマスカスのモスクが爆破された際に殺害されるなどの事件があったが、少数派キリスト者の高位聖職者が危害にさらされることはなかった。
ワールド・ウォッチ・モニターは、今回の拉致が、イブラヒム大主教が英BBC放送に、シリア内乱でキリスト者が狙われることはなかったと語った1週間後に起きたことに注目している。大主教は、バシャル・アル=アサド大統領を支持し、シリアから脱出しないよう信徒に要請していたが、ここへ来て政府批判に転じた。13日のBBC放送とのインタビューでは、キリスト者の約3分の1がすでに出国しているが、「身の安全が脅かされ、脅迫も日常的になっている」ことを考えると、無理もない、としていた。
17日、ギリシャのメルキト典礼カトリック教会総主教グレゴリー3世は報道陣に、シリアのキリスト者1000人以上が殺害され、教会20カ所が破壊されたと語っている。
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