英公立学校の学修シラバスの中に、ドルイド教と魔術教育が初めて含まれることになった。公教育でキリスト教、イスラム教およびユダヤ教と並列して「邪教」と呼ばれる宗教も教えられることになったことについて、英キリスト教会で懸念の声が生じている。16日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
英コーンウォール州の公立学校ではキリスト教が宗教教育の焦点であるものの、生徒らは英国に古くから伝わるドルイド教についても学ぶことができるようになる。ドルイド教はブリテン諸島にキリスト教が到来する以前から伝わる土着宗教で、魔術や多様な地域で様々な偶像崇拝が行われてきた。
シラバスでは、コーンウォール州の顧問委員会によって、5歳以上の年齢の生徒はキリスト教に焦点を置いて学習するものの、宗教教育のうちの40パーセントはキリスト教以外の諸宗教を教えるべきであることが明記されている。同学修シラバスでは「キリスト教が全ての学習段階において主要な宗教として教えられるべきであり、宗教教育時間の60パーセント以上はキリスト教教育に与えられるべきであるが、宗教教育に与えられる時間の40パーセント以下の時間においてキリスト教以外の諸宗教も教えられるべきである」と書かれてある。キリスト教以外の諸宗教を教えることで生徒が「邪教と言われる宗教の基本的な理解を得、邪教を崇拝している両親がいる子どもを認識することができる」という。
一方、英国社会では現代においても邪教や魔術崇拝を広めようとする勢力が強いことから、公教育で邪教を教えることの危険性も英国社会の中で指摘されている。英国内のキリスト教教育活性化組織であるクリスチャン・インスティテュート広報担当者のマイク・ジャッジ氏は「すでに現代公教育における宗教教育に配分される時間は縮小されています。キリスト教とその他主要な宗教のために割くことのできる時間も十分とはいえません。そのような中で邪教も教えるということは単に一時期の流行に流されているだけのことであり、教師が正しく理解し教えることができるかの方が、子どもにそのような邪教を教える必要性よりも問われるところです」と述べている。
英デイリー・メールによると、コーンウォール州では人口53万7,400人中600人から750人が邪教を崇拝していると推定されているという。コーンウォール州スクールカウンシル委員のネイル・バーデン氏はキリスト教が同州公教育シラバスにおける宗教教育の大部分の時間を占めており、邪教を教えることは、ただ単に生徒が「広範囲な諸宗教の信条を知るためのアクセスを作るにすぎない」と述べている。
2001年の調査によると、英国では現在4万2,000人の邪教崇拝者が存在しており、英国内で第7番目に多い宗教となっている。現在ではその数はさらに増加していると言われている。