【CJC=東京】米ワシントンに本拠を置く「ピュー・リサーチ・センター」が12月19日発表した調査報告『全地球のキリスト教』は200以上の国を対象に国勢調査など2400以上の情報源を利用して、「キリスト者」と自認する人の数を算出した。
2010年の世界総人口69億人の中で、キリスト教信者は21億8000万人と32%を占める。キリスト教は「世界的な宗教」とされるものの、欧米など伝統的なキリスト教世界が不振なのに、発展途上国では信徒数が急増しており、キリスト教の中心と呼べる大陸や地域はなくなった。
約1世紀前の1910年以来、変化が著しい。当時は世界のキリスト者6億人の3分の2は欧州に住んでいた。それが今では21億8000万人の中で欧州居住者の比率は25%にまで低下している。一方、南北アメリカには37%、サハラ砂漠以南のアフリカが24%、アジア・太平洋地域13%。
「世界の3分の2の国で、人口の大多数がキリスト者と認められるが、これは予想外のことで驚いている」と報告書のコンラッド・ハッケット主任は言う。
教派別に見ると、約半数はカトリック。広い意味でのプロテスタントは37%、正教会12%。その他モルモン教会やエホバの証人など1%。
総人口の32%を占めてキリスト教が首位に立つ一方、イスラム教が16億人(23・4%)で2位だった。
キリスト教の起源は中東と北アフリカにあるものの、現在同地方では住民の僅か4%に過ぎない。
一方でサハラ砂漠以南のアフリカでは1910年の9%から今では63%にまで増加している。ナイジェリアのキリスト者は8000万人で、宗教改革の始まったドイツよりプロテスタントが多い状況。
「歴史的な宣教活動とアフリカ住民による固有のキリスト教運動の結果、サハラ砂漠以南では1910年の10人に1人から、今日では10人の内6人がキリスト者だ」とハッケット主任。
ヨーロッパを見ると94%がキリスト者だった1910年より、宗教的には多様化が進んでいる。それでも今日なお住民の76%がキリスト者を自認している。
「キリスト者だという人の率はもっと小さいという印象を持つ人が多いだろう」と同氏は言う。
報告書は、中国のキリスト者の数という難題にも取り組んだ。公式調査には、キリスト者と自認させないような政策も影響している。それらを勘案しつつ、共産党員のキリスト教信仰を禁止する政策にも関わらず、信者が増えている、と調査者は確信しており、人口の5%、6700万人と推定する。