ベトナムのキリスト教系リハビリ施設では、政府運営の劣悪なリハビリ施設と違い、多くの劇的な回復の証しが生まれている。かつて薬物のために家族から盗み、さらには自身の子どもを人質に取るほど荒れた生活を送っていたナム・クオック・チュンも、その一人だ。ンゴー牧師の施設で、キリストにある自由を得た彼は、今では「アキラ・センター」の牧師として、ハノイ郊外で数百人の男性、女性、子どもたちを受け入れているのである。(第1回から読む)
「人々はこんなにも変えられた私を見て本当に驚きます。私たちが神と共に歩んでいること、そして私たちの取り組みが見事に機能していることを、誰も否定できないのです」とナム牧師は語る。
ナムのセンターには、寮、キリスト教学校、そして個人的な祈りと瞑想のための「祈りの洞窟」が設けられている。ここで入所者たちは「兄弟」「姉妹」と呼ばれ、信仰と生活スキルを磨きながら、互いに支え合う関係を築いていく。その成果に注目したベトナム政府の関係者は、06センターではなく、ナムの施設に依存症者を紹介するようになりつつあるのだ。
こうした成功にもかかわらず、キリスト教系リハビリ施設は、キリスト教信仰を活用しているとの理由によって正式に登録されていない。その結果、政府からの資金援助やメディアの認知を受けられないのだ。
それでも、その影響力は拡大し続けている。政府関係者の中には、ナム牧師のような指導者を招き、彼らの方法や成果を学ぼうとする者も出てきた。これは、政府の姿勢が変化する兆しともいえる。「神は弱い者を用いて、強い者を恥じ入らせるのです。暗闇が満ちている場所で、神はご自身の栄光を示されるのです」とナム牧師は語る。
信仰に基づく回復プログラムを通じて、キリスト教系リハビリ施設は依存症者を救うだけでなく、家族や地域社会にも変革の波を広げている。子どもたちの劇的な変化を目の当たりにした親たちが、信仰を持つようになることも少なくない。このようにして、より強固な回復の基盤が築かれていくのだ。
「神は私を変え、あなたを変え、誰でも変えることができます。だからこそ、私たちは、他の多くの依存症者たちを救いに行くのです」と、ンゴー牧師は力強く語る。自由意志、愛、霊的な刷新を大切にするこれらの施設は、ベトナムの依存症者たちの未来を塗り替えつつある。そしてキリストの力が、最も壊れた人生をも回復することができることを、彼らの歩みは証明しているのだ。
このような信仰を基盤とするリハビリ施設が用いられ、依存症に苦しむ者だけでなく、その家族や関係者たちにも救いの輪が広がっている。主の素晴らしさを褒めたたえずにはおれない。これらの施設がなお用いられ、救霊の御業と祝福をベトナム社会にもたらすことができるよう祈っていただきたい。
■ ベトナムの宗教人口
仏教 52・5%
プロテスタント 2・0%
カトリック 7・7%
無神論 23・3%