世界福音同盟(WEA)が来年10月に韓国・ソウルで総会を開催することについて、韓国基督教総連合会(CCK)に続き、韓国教会連合(CCIK)も反対の立場を表明した。
WEAのソウル総会を巡っては、開催の計画が明らかになると、保守派では韓国最大の教団である大韓イエス教長老会(合同)の関係者らが、反対声明をキリスト教紙「国民日報」に全面広告として掲載。CCKも、反対声明をウェブサイトに掲載していた(関連記事:世界福音同盟、2025年に韓国・ソウルで総会開催へ 一部では反対の声も)。
CCIKは、2日に発表した声明(韓国語)で、WEAについて「世界的な福音主義運動の機構」だとする一方、「各大陸の福音主義運動を一つにまとめ、昇華させるべき立場にあるWEAが、本来の福音主義精神から逸脱し、韓国キリスト教界の主要教団から、宗教多元主義や宗教混交主義などさまざまな疑惑の中心に立たされているのが今日の現実」だと主張している。
韓国のキリスト教保守派の間では、WEAを批判する声があるとし、これらは「現議長の新使徒運動(NAR)疑惑」と「前総主事の露骨な宗教多元主義的な行動」に深い関係があると指摘。また、「ローマ教皇庁(バチカン)に行き教皇の前にひざまずくなど、福音主義の指導者として想像を絶するような行為をしたのが、WEAの前・現職の幹部らの実態だ」などと批判している。
WEAが来年ソウルで総会を開くことは11月に発表され、韓国現地で準備を行う組織委員会の発足感謝礼拝が同15日にソウルで行われ、WEAの関係者らも出席した。組織委員会の共同委員長には、サラン教会のオ・ジョンヒョン牧師と汝矣島(ヨイド)純福音教会のイ・ヨンフン牧師が就任し、総会の準備は主にこの2つの大型教会が担うとされている。
WEAのグッドウィル・シャナ議長とトーマス・シルマッハー前総主事については、発足感謝礼拝後の記者会見でも質問が出た。韓国の代表的な改革主義神学者で組織委員会の神学委員を務めるキム・ジェソン博士はこの際、シャナ氏のNARとの関係については調査を行う考えを示し、シルマッハー氏については既に辞任しているとして影響がないことを強調していた(関連記事:WEAソウル総会の組織委員会発足、韓国内の懸念の声には調査で対応する意向)。
シルマッハー氏は昨年9月、教皇庁で開かれた教皇フランシスコ主催のエキュメニカルな祈祷会に出席したが、これに対して福音派の一部の間では批判する声が上がっていた。WEAの加盟団体であるイタリア福音同盟(AEI)は声明(英語)で、「福音主義の信頼性の深刻な損失だ」などと批判。同じくWEAに加盟するスペイン福音同盟(AEE)も声明(英語)を発表し、シルマッハー氏が教皇に対し、対等な関係に見えないほどに深く頭を下げている姿勢などを問題視していた。
WEAは、原則として各国1つの福音主義連合組織の加盟を認めている。ただし韓国については、2009年に加盟したCCKがその後分裂したことから、新たに組織されたCCIKも加盟していた。しかし、WEAのウェブサイト(英語)には現在、以前から協力会員の形で加盟していた福音派の牧師らによる団体である韓国福音主義協議会(KEF)のみが表示されている。
CCIKは声明で、WEAの指導者らが、韓国の一部の大型教会との話し合いだけで総会の開催を決めたことにも異議を表明。「成果主義と共鳴主義にとらわれ、このままこの事を進めれば、韓国キリスト教界は再び反目と葛藤を繰り返し、四分五裂になるだろう」としている。
WEAの発表(英語)によると、総会は「2033年までに全ての人に福音を」のテーマ(仮)の下、来年10月27日から31日までソウルで開催する計画。