一般書店でも、聖書の入門書や三浦綾子の作品などは見かけるが、これほどストレートかつシンプルに聖書のメッセージを伝える一般書は数少ない。
本書の主題は明快だ。「自分が死んだらおそらく天国に行けるだろう」「そんなことを考えても仕方がない」。多くの日本人はそのようなことを考えているが、それは間違っていること。そして、聖書だけがそれらに対する明確な答えを提示していること。この2つだ。
著者は、本紙で連載コラム「聖書的終活のススメ」を執筆した田中啓介牧師。「相手に宗教の勧誘という印象を持たれることなく伝道できる本」をコンセプトに、サイズも漫画本などによく見られる四六判に合わせ、100ページの薄さに仕上げた。
ナポレオンやドフトエフスキー、アインシュタインから、「寅さん」でおなじみの渥美清まで、日本人にもよく知られた人物が30人以上登場する。聖書を前提とした演繹(えんえき)法によってではなく、日本人にもなじみのある人物や出来事を客観的に提示しながら、帰納法によって聖書の真実性を浮き彫りにしていくため、一般の読者にも分かりやすい。
伝道したい相手にうまく福音を伝えることができない、福音を伝える機会がなかなか見つからないという人にぜひお薦めしたい一冊だ。
『聖書的「終活」のススメ―君たちはどう生きているか』(風詠社)は、一般書店で取り扱っているほか、アマゾンや楽天などで購入できる。価格は税込み1100円。