人気ポップ歌手のジャスティン・ビーバーが18日、新曲「HOLY」を発表した。「罪人の話はたくさん聞いた 自分が聖人になるとは思っていない」と始まる歌詞には、キリスト教で使われる言葉も多く含まれており、洗礼を思わせる描写もある。
2月に5枚目のスタジオアルバム「Changes」をリリースして音楽活動を本格的に再開したビーバー。新曲は、5月にリリースしたアリアナ・グランデとのコラボ曲「Stuck with U」以来。人気ラップ歌手のチャンス・ザ・ラッパーをフューチャリングし、神について、また若き日の愛について歌っている。
歌は「罪人の話はたくさん聞いた 自分が聖人になるとは思っていない」で始まり、「でも僕は川に入るだろう」と続く。この「川に入る(go down to the river)」は、米国の伝統的なゴスペル曲「Down To The River To Pray」に掛けたものだとする指摘もあり、洗礼を受けるために「川に入る」と理解することができる。さらに「最初の一歩が天の父を喜ばせる 踏み出すのは難しいかもしれない でも水から上がったとき 僕は信仰者、僕の心は満たされる」という箇所もあり、洗礼を受けた後の描写と捉えることもできそうだ。
実際にビーバーは8月初め、妻で女優のヘイリー・ビーバー(旧姓・ボールドウィン)と共に洗礼を受けたことをインスタグラムで報告している。洗礼を受けた際の写真も数枚投稿し、「自分の人生で最も特別な瞬間の一つでした。私たちの友人と家族と共に、イエス様への愛と信仰を公に告白したのです」と語っていた(関連記事:「人生で最も特別な瞬間」 ジャスティン・ビーバー、妻ヘイリーと洗礼受ける)。
楽曲解禁と同時にミュージックビデオ(MV)も公開された。MVでは、ビーバーが石油工場で働く青年を演じ、恋人役を黒人歌手のライアン・デスティニーが演じる。工場をクビになり、住んでいたモーテルも追い出され、夜道を当てもなく歩く2人。そこに、南米系の俳優ウィルマー・バルデラマ演じる米兵が車で通り掛かる。ふびんに思った米兵は2人を自宅に招き、自分の家族と共に食事をするという心温まるストーリーが描かれている。
このMVを監督したのは、これまでに200以上のMVを手掛けてきたコリン・ティリー。新型コロナウイルスにより多くの人が失業し、黒人差別や移民問題を抱える米国社会を反映した構成になっている。
ビーバーは米ビルボード誌(英語)のインタビューに、「コリンと僕は、今世界で起こっている多くのことを反映させたビデオを作ろうと思ったのです。多くの痛み、多くの苦悩、多くのいらだち。多くの人たちが仕事を失いました」と説明している。
一方、「このビデオは基本的に、思いやりのある行動が、誰かの人生またその一日を変えられるということを伝えるものです。そして、人々に共感することがいかに大切かも」とコメント。「僕たちがこのプロジェクトで目指しているのは、このような不確実で壊れやすい時代に希望を与え、励ますことなのです」と語っている。
「HOLY」のMVは、公開から1週間たった25日現在、3400万回以上再生されている。
■ ジャスティン・ビーバー「HOLY」MV