シンガポール保健省は15日、新型コロナウイルスの同国内の感染者が同日正午までの時点で72人になったと発表した。この内、グレース・アセンブリー・オブ・ゴッド教会での感染者は16人に上り、同国で最大の感染地となっている。感染者にはウィルソン・テオ主任牧師も含まれており、同教会は会堂を閉鎖するとともに、礼拝を含むすべての活動を2週間中止する対応を取っている。
保健省の発表(英語)によると、この他、5人の感染者がシンガポール・キリスト・ライフ教会と何らかの関係があり、同教会も感染地の可能性がある。また感染者の中には、他にも別の2つの教会の礼拝に参加していた人もおり、今後、他の教会からも感染者が出る可能性がある。
グレース・アセンブリー・オブ・ゴッド教会のテオ牧師は13日、教会のホームページ(英語・中国語)で、新型コロナウイルスの影響により、12日から礼拝を含むすべての活動を2週間中止すると発表。自身も11日から国立感染症センター(NCID)に入院しており、検査で陽性となったことを明かした。
テオ牧師は「教会にとって非常に苦しい時」とする一方、自身は回復に向かっていると説明。「完全に回復し、このウイルスをめぐるグレース・アセンブリーの闘いを皆さんと分かち合えることを期待しています。そうです。私たちは、キリストにあって勝利者です。このウイルスが私たちに打ち勝つことはできません」と述べ、教会員らを励ました。
同教会は、礼拝や諸活動を中止するだけでなく、感染拡大防止のため、国内に2つある会堂も14日から25日まで閉鎖する。礼拝は、2月29日、3月1日の週末から再開する計画だという。
同じく、感染者が出ているシンガポール・キリスト・ライフ教会も、現在は礼拝を含むすべての集会を中止。礼拝や日々のメッセージは、ネット配信で対応している。
カトリック教会のシンガポール大司教ウィリアム・ゴーは14日、新型コロナウイルスをめぐる司牧書簡(英語)を発表。「カトリックとして、われわれは、人が多く集まる集会を避けることで、このウイルスの拡散防止においてなすべき責任がある」とし、一般に公開されるすべてのミサ、また人が多く集まる各種集会を15日正午以降、無期限で停止するとした。その上で信者に対しては、日曜日にはユーチューブやラジオで配信するミサの放送を視聴したり、各家庭で聖書の朗読と祈りの時を持ったりするよう勧告した。
この他、シンガポールのストレート・タイムズ紙(英語)によると、同国内では、礼拝を期間限定で中止する教会もあれば、体温測定を実施したり、万が一感染者が出て追跡が必要になった場合に備え、礼拝出席者の連絡先を確認したりして、礼拝を行っている教会もある。
シンガポールでは7日、感染症の警戒レベルが、2003年の新型肺炎「重症急性呼吸器症候群(SARS)」流行時と同じ、4段階で上から2番目の「オレンジ」に引き上げられた。15日正午時点で、感染が確認された72人以外にも、107人が検査の結果を待っている状態で、今後さらに感染者が増える可能性もある。一方、これまでに感染者のうち18人が退院しており、感染の可能性があった人のうち、812人が検査で陰性となっている。