日本キリスト教異端相談所所長の張清益(チャン・チョンイク)牧師が、自らが牧会する単立とねりキリスト教会(東京都足立区)に通っていた複数の信徒に対し、暴行を加えていたことが、元信徒らの証言で明らかになった。被害者の中には、暴行を受けたことがトラウマとなり、いまだに深い心の傷を負っている人もいる。また、張牧師の下で教会スタッフとして働いていた男性は、日常的にパワハラを受けていたとし、「私たちが張牧師にされたことを知ってほしい」と訴える。
返事が遅いと激怒、日常的なパワハラ
村上厚朗(あつお)さんは2017年に約1年間、とねりキリスト教会でスタッフとして働いていた。同教会の信徒はほとんどが韓国人だが、村上さんは韓国への留学経験があり、韓国語を理解できたことから、知人の紹介でスタッフとして働き始めたという。しかし、働き始めてから間もなくして、張牧師による高圧的な態度が目に付くようになった。
電話に出るのが遅れたり、携帯電話のインスタント・メッセンジャーで返事をするのが遅れたりすると、狂うように怒り、時には携帯電話を床に投げ付けたり、村上さんに当たるように投げ付けたりした。また張牧師は、高速道路を制限速度超過の120~130キロ近くで運転することが多く、それに村上さんが運転する車がついていけなくなると、運転中にもかかわらず電話をしてきて怒りをぶつけてくることもあった。さらに、村上さんが運転中のため電話に出ないと、「なぜ電話に出ないのか!」と後で怒鳴りつけてきたという。
「日曜日の礼拝など、信徒が多くいるときはいい人です。スタッフは訓練が必要だから、一般信徒とは扱いが違うというのが、張牧師の言い訳です。私は殴られたこともあります」
2017年11月下旬、張牧師は突然、村上さんに「荷物を片付けろ」と言ってきた。理由を尋ねても答えはなく、村上さんは12月上旬にスタッフを辞めさせられた。信徒たちの間には、村上さんが教会のお金を横領したためスタッフを辞めさせられたといううわさも広げられていた。村上さんは教会の会計を担当していたが、その数カ月前、会計上のミスを指摘する声があり、張牧師が会計を一通り確認したことがあったという。その時の張牧師は、村上さんに横領などは認められないとしていたが、それを急に反故にする対応だった。
納得できなかった村上さんは12月下旬、妻と共に再び教会を尋ねた。しかし、張牧師は「不法侵入だ」と叫びながら、村上さんたちを追い出したという。さらに張牧師は、横領を理由に、村上さんにスタッフとしての給料2カ月分をいまだに支払っていないという。
村上さんによると、張牧師は礼拝の説教でも、去って行った信徒たちの悪口を言うことが度々あったという。村上さんが在籍していた当時、とねりキリスト教会には、共に韓国人の男性宣教師と男性副牧師がいたが、いずれも2017年中に同教会を辞めている。副牧師は同年末まで奉仕する予定だったが、それを待つことなく、5月に辞めていった。「張牧師は副牧師のこともボロクソに言っていました」と村上さんは話す。
怒ると頻繁に携帯投げ付け、複数の信徒に暴行も
村上さんを含め元信徒らの話によると、張牧師は怒ると、携帯電話を床などに投げ付けることが頻繁にあったという。さらに、複数の信徒には暴行も加えていた。本紙が確認できただけでも、少なくとも2人の元信徒が張牧師から殴られたり、蹴られたりして、全治2週間のけがを負っている。そして、こうした張牧師の問題行動が教会内で明らかになり、2017年末ごろには、当時いた信徒のうち、8割近くが教会を去って行ったという。
「張清益牧師が私たちにしたことを知ってほしい」
現在、都内の別の教会に通う村上さんは、スタッフを辞めさせられた当初、張牧師から受けたパワハラを告発することは強く考えていなかったという。しかし今回告発に踏み切ったのは、張牧師が代表となって「異端カルト110番」が立ち上げられるというニュースを見たからだ。
「私にとっては、この牧師がやっていること自体が異端。その牧師が、異端対策をする資格があるのかと。ニュースを見ると、『異端カルト110番』を他の牧師たちと協力して立ち上げるということが書かれていたが、その牧師たちには、私たちが張牧師にされたことを知ってほしい。知った上で協力するのであれば仕方がないが、知らないで協力し、これからまた同じような被害者が出ることはしたくない」
証言してくれた元信徒たちは口をそろえて、張牧師の非道を訴えた。「最初は、お年寄りを大切にする良い牧師だと思ったけど、こんな人だったとは」とある元信徒は話す。また別の元信徒は、「こんなことをするのが牧師と言えるのか」と訴える。「張牧師には、本当に牧師としての仕事をやめていただきたい」と語気を強めて語った。
本紙は張牧師に確認を求めたが、記事掲載前までにコメントは得られなかった。