2017年7月20日08時58分

温故知神―福音は東方世界へ (76)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本21 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神―福音は東方世界へ (76)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本21 川口一彦

<本文と拓本>32文字(612+32=644)

観其元宗(其の元宗を観れば)、生成立要(生成は要を立つ)。詞無繁説(詞に繁説無く)、理有忘筌(理に忘筌有り)。濟物利人(物を濟い人を利し)、宜行天下(宜しく天下に行うべし)。所司即於亰義寧坊(所司は即ち京の義寧坊)

<現代訳>

教えの根本を観察すれば、発生と成り立ちは要を得ている。説教に複雑さもなく、教えを失わないために賜物を活用して、人に益を与え、宜しく天下に教えを宣べ伝えよ、と。役人たちは長安城内の義寧坊に会堂を建てるように・・・

<解説>

太宗皇帝が景教の中国国内での宣教許可を与えた一文である。それだけではなく、長安場内義寧坊区の大秦寺をはじめ全国に会堂が建っていくようになる。

温故知神―福音は東方世界へ (76)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本21 川口一彦

宣教許可を下した唐国家は、当時国際化していて外来宗教の教義内容次第では支援もした。景教はその庇護(ひご)のもとで教会形成に当たることができた。

日本からは遣唐使の往来や、バグダッドやビザンチンなど東西南北から約50の諸国が出入りし、宗教団体もあり、繁栄で賑わうこの時代を貞観の治ともいわれてきた。

宣教と教会形成においてチャンスでもあった。

温故知神―福音は東方世界へ (76)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本21 川口一彦

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

1951年、三重県松阪市生まれ。愛知福音キリスト教会宣教牧師、基督教教育学博士。聖書宣教、仏教とキリスト教の違い、景教に関するセミナーなどを開催。日本景教研究会(2009年設立)代表、国際景教研究会・日本代表を務める。季刊誌「景教」を発行、国際景教学術大会を毎年開催している。2014年11月3日には、大秦景教流行中国碑を教会前に建設。最近は、聖句書展や拓本展も開催している。

著書に 『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年)、『仏教からクリスチャンへ―新装改訂版―』『一から始める筆ペン練習帳』(共にイーグレープ発行)、『漢字と聖書と福音』『景教のたどった道』(韓国語版)ほかがある。

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