<本文と拓本>32文字(612+32=644)
観其元宗(其の元宗を観れば)、生成立要(生成は要を立つ)。詞無繁説(詞に繁説無く)、理有忘筌(理に忘筌有り)。濟物利人(物を濟い人を利し)、宜行天下(宜しく天下に行うべし)。所司即於亰義寧坊(所司は即ち京の義寧坊)
<現代訳>
教えの根本を観察すれば、発生と成り立ちは要を得ている。説教に複雑さもなく、教えを失わないために賜物を活用して、人に益を与え、宜しく天下に教えを宣べ伝えよ、と。役人たちは長安城内の義寧坊に会堂を建てるように・・・
<解説>
太宗皇帝が景教の中国国内での宣教許可を与えた一文である。それだけではなく、長安場内義寧坊区の大秦寺をはじめ全国に会堂が建っていくようになる。
宣教許可を下した唐国家は、当時国際化していて外来宗教の教義内容次第では支援もした。景教はその庇護(ひご)のもとで教会形成に当たることができた。
日本からは遣唐使の往来や、バグダッドやビザンチンなど東西南北から約50の諸国が出入りし、宗教団体もあり、繁栄で賑わうこの時代を貞観の治ともいわれてきた。
宣教と教会形成においてチャンスでもあった。
※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
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