24日午後2時から星陵会館(東京都千代田区)で行われた「戦争法案に反対する宗教者・門徒・信者全国集会」の参加者らを含む500人を超える宗教者が、集会後に衆議院第二議員会館前で抗議祈念行動を行い、「武力で平和はつくれない」「殺し殺される戦争反対」などと声を上げるとともに、同集会の呼び掛け団体の代表者や、3人の創価学会の会員、6人の国会議員が、マイクを手に次々に安保関連法案に対する反対の声を上げた。
この行動の中で、日本キリスト者平和の会代表委員の吉田吉雄氏は、「私は今90歳です。戦争の怖さというか、残酷さというものを味わい知った者として、実際に人を殺すということ、これ以上の罪悪はないと考えています。だから、戦争する国にしようなんていうのは、日本の国を人殺しの国にしようという、誠に災いを日本にもたらすものであります」と述べ、「残る命を平和のために費やしたい」と語った。特にSEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)が全国的に立ち上がってきたことについては、「私の後を託せる若者たちが出てきたという喜びに満ちている」と語った。そして、「私も30年間は、戦争は必要悪かもしれないと思っておりましたが、それは絶対に間違いで、戦争は不必要悪なんです」と強調。「安倍さんは、人を殺すことがいいと思っているのか、悪いと思っているのか、それを国会ではっきり言えと私は言いたい」と結んだ。
平和を実現するキリスト者ネット(キリスト者平和ネット)事務局代表で日本基督教団牧師の平良愛香氏は、「私が生まれ育ったのは沖縄です。沖縄でもずっと新しい基地建設の反対運動をして、今も続いていますが、最初の頃はよく言われました。『反対運動をしても、結局は(基地が)できるんでしょ?』って。けれども、本気で止めることができると信じている人たちが闘っていたおかげで、今沖縄全体が止められると本気でそう思うようになった。だから止まってるんです」と話した。その上で、「それが今、日本全体に広がってきている。戦争をつくり出すこと、そういう法律を作ろうとしている政府。『どうせ止められないんでしょ?』って思っている間は、止められませんでした。でも、本気で止めようとみんなが思い始めたときに、どんどん安倍政権は追い詰められている。先ほどの集会で渡辺治さんの話を聞き、どれだけ安倍政権が今追い詰められているかを知って、『よし、あと一歩だぞ』って強く感じました」と、「戦争法案に反対する宗教者・門徒・信者全国集会」での渡辺氏の基調報告についても感想を述べた。
さらに平良氏は、「沖縄の辺野古基地建設もあと一歩で白紙撤回になる」と言い、「そして、戦争法案も必ず白紙になる。私たちはそれを信じて進んでいく宗教者でありたいと思いますし、実際に宗教者の動きというものを宗教者でない人たちは注目して見ています」「辺野古で船を使って基地建設を阻止している人たちの何人かはキリスト教の牧師です。そういった中で多くの人たちが宗教者を見ながら自分たちも頑張ろうと思ってくれている。そこに一緒に連なっていきたいと思います」と語り、午後6時から行われた、毎月第4月曜日の「首相官邸前でゴスペルを歌う会」への参加を呼び掛けた。
また、日本キリスト教協議会(NCC)平和・核問題委員会委員長である日本福音ルーテル教会牧師の内藤新吾氏は、「今回の法案は、まさに戦争法案です。平和法案だなんてとんでもない話です。安倍さんのばかさ加減にはもう付き合わされないようにしましょう。だまされてはいけないと思います。本当にいい加減過ぎる。あの人のおかげで(福島で)原発事故が起きたんですよ。『津波対策大丈夫ですか?』って言ったら、『安全対策は万全を期している』と。いい加減過ぎるから今の事態が起きていて、その反省が全くない。あの人の言うことは、今回の事故が起きた後も、『コントロールされている』とか、もう全ていい加減です。だから今回の法案も、百歩譲って彼の言うことを真に受けたとしても、『これは平和を守るための法案です』というのは、全く客観性がないわけです」と批判した。
「私たちは戦争をしてはならない国です。そのことを喜んで歩んできた70年です。このばかな法案は、今までになかった最悪の法案だと思います。『殺すな、殺されるな』。そしてもし集団的自衛権など認めたら、私たちはその意志がなくても、良からぬ人たちに国内がテロで狙われます。どこに行っても安全な場所がなくなってしまう。そんなことは認められるはずがないんです。国民の多くが反対をしていて、なぜ聞く耳を持たないのか?こんなワンマンな首相は退陣していただきたい」と内藤氏は語り、「国民の声が強い限り、この法案は必ず廃案にできると思います。しっかりと一緒に歩んでいきましょう」と呼び掛けた。
他に、呼び掛け団体からは、日本宗教者平和協議会理事長で真宗大谷派の住職でもある荒川庸生氏、金光教非戦・平和ネット代表世話人の浅野善雄氏、浅川金刀比羅神社(東京都八王子市)宮司の奥田靖二氏、2000年東西本願寺を結ぶ非戦・平和共同行動実行委員会の伊瀬谷功氏がこの行動で発言したほか、公明党の支持母体である創価学会の会員3人も匿名でこれに参加して発言し、他の参加者から大きな拍手を受ける場面もあった。
なお、仏教者やキリスト者などの平和運動団体である「宗教者九条の和」は、「戦争法案の廃案を求める宗教者・門徒・信者 緊急アピール」への署名による賛同を求めている。同団体事務局で日本山妙法寺僧侶の武田隆雄氏によると、このアピールには20日の時点で既に2147人が賛同しており、これを「1万人にしたい」(武田氏)という。
また、宗教者九条の和が同日に参議院議員会館で開いた同アピールの第1次集約集会では、日本基督教団総会議長の石橋秀雄牧師が初めて発言し、同教団が7月に発表した「戦後70年にあたって平和を求める祈り」を読み上げた。
宗教者九条の和は30日(日)午後2時から行われる「戦争法案廃案!安倍政権退陣!8・30国会10万人・全国100万人大行動」などへの参加も求めている。