聖書のメッセージはカンバーランド長老キリスト教会高座教会(神奈川県大和市)牧師の松本雅弘氏から伝えられた。松本氏はイエス・キリストの誕生について「主は富んでおられたのにあなた方のために貧しくなられました。それは、主の貧しさによってあなたがたが豊かになるためだったのです(Ⅱコリント8・9)」を引用して、飼い葉桶に生まれたイエス・キリストの誕生、小さな光が大きな光となっていくキリストの御業について伝えた。
今年は東日本大震災による地震・津波・原発事故の被害が生じ、暗いニュースが紙面一面に広がる一年となった。同様にイエス・キリストが2000年前に生まれた時代も大変な時代であり、時の権力者ヘロデ王が、王位が危うくなることを恐れてイエスが赤ん坊のうちに殺害するべく2歳以下の男子を皆殺しにする勅令を出していた。ヨセフがイエスの母マリヤと幼いイエスを連れて住民登録の長旅をする途中に、マリヤが産気づいてイエスを飼い場桶で出産した。
松本氏はヨセフとイエスを抱えたマリヤが洞窟の中で一夜を明かしているときに、洞窟の中にいたくもが、冷たい風が洞窟の入り口から入ってきて「イエス様が死なないように」とくもの巣を洞窟の入り口一面に張り巡らしたというシリア地方の美しい伝説があることについて、紹介した。
伝説によると、そのくもが張り巡らした巣によっては寒気を防ぐことはできないが、くもは自分が主のためにできる精一杯のことをしたという。その後馬から降りたヘロデ軍の兵士が洞窟の入り口まで来たところ、くもの巣が一面に張りめぐらされていたため、『ここに人が入っていれば、くもの巣が破れているはずであり、この中にはいないだろう』と判断、そのまま素通りしたため、イエスとその両親の3人は一命をとりとめたという。クリスマスの飾り付けの金や銀のボールには、この際に張り巡らされたくもの巣にできた月の光を反射した夜露を表しているとも言われていることが紹介された。
松本氏は、「2000年前イエス様がお生まれになったとき、(その誕生が)大いなる光であったかといいますとそうではなく、見落としてしまうような本当に小さな光であったのが、だんだんと大きな光になっていきました。愛のわざは、どんなに小さいわざでも神様は喜んでくださいます。東日本大震災を通して、もう一度本当に大切な物は何なのかという事を、この一年間色々な形で考えさせられたのではないでしょうか。ブータンでは一人当たりの国民総所得は約15万円でしかありませんが、ブータン国民の97パーセントが『幸せである』と考えているそうです。このことを知って、改めて私たちは何を大事にしてきたのか、何を大事にしていったら良いのかをもう一度考えさせられました。新聞には毎日暗いニュースが一杯で、私たちの周りに闇が深いことを感じます」と伝えた。
イエス・キリストの愛のわざについて松本氏は、「ろうそくの光を灯すとその周りは闇が消えてなくなります。2000年前イエス様がお生まれになられた時の光は本当に小さな光でした。その光が今や世界に広がって世界中でお祝いされています。今は小さくとも、皆が協力して照らしていくならばその小さな光は確実に広がっていくことを聖書は教えています。被災地の現実を見ますと尻ごみして何も出来ない無力さを覚え、なかなか光を見出せないと感じるかもしれません。しかし最初は小さな光から出発し、ごくごく小さな光を灯していけば良いのではないでしょうか。毎日被災地のために短く祈ることから、そしてこのような会に参加して、何かできることを見つけるというような、神様がイエス様を通して現して下さった愛を具体的に形にして差し出すこと、それが光を灯すということです。そうした小さな光を少しずつ少しずつどれだけ周りの人たちを巻きこみながら、灯していけるか、少しずつ照らしていけるか、そして大きな光になって世界を照らすか、そのことを私たちは想像し、これからも実験していければと思います。小さな努力、愛の種まき、前に向かって歩んで行こうとするその小さな光をどれだけ大事にしていけるか-そのことを通してキリストの愛の光を被災地に届けていけたらと思います」と述べ、「神様イエス様を私たちにありがとうございます。あなたは本当に被災地の方々を瞳のように愛しておられます。神様どうぞその愛をお伝えください。私たちも小さな光を灯しますので、被災地の方々に少しでも愛を届けることができますように。みんなで支え合って光を持ち寄って、あなたの栄光を表していくことができますように。私たちの主、飼い馬桶のイエス様の栄光を通して、お祈りします」と祈りを捧げた。
チャリティコンサートでは愛と希望の音楽委員会によるチャリティーCD「祈り-You are special」が、販売額は購入者がそれぞれの自由意思で決定し、募金箱に募金する形で販売された。同CDの収益はすべて、東日本大震災の復興支援金として、また東日本のために祈りの輪をつなげ続けていくためのチャリティーコンサート運営のために捧げられるという。
同チャリティコンサートは、被災地に支援に向かったクリスチャンアーティストたちの想いと祈りが集まり、6月から音楽会として定期的に開催されてきた。来年度も1月に北海道、2月に韓国と続けてチャリティ―コンサートが開催されていく予定であるという。