イスラム圏にいるキリスト教徒への実用的支援を中心に活動を展開する英国の慈善団体「バルナバ・ファンド」は、今月中旬から戦闘が激化しているパレスチナ自治区ガザでキリスト教徒が非常に危機的な状況にあるとして、緊急支援を行うために世界中の教会から援助を求めている。
ガザ地区では、今月11日からイスラム原理主義組織ハマスとパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハとの間で戦闘が始まり、さらに16日からはイスラエル軍による空爆が開始され多数の負傷者が出ている。同軍による空爆で、キリスト教徒の民家も一部破壊された。
現在、人口約150万人のガザ地区には3千人前後のキリスト教徒がいるとみられ、今回の戦闘では直接的な攻撃の対象にはならないが、依然として激しい戦闘に巻き込まれた状態が続いている。
バルナバ・ファンドによれば、ガザ地区のキリスト教徒は多くが失業状態にあり、店に食料を買いに行くことができず、支援の必要性が高まっているという。また、同地区でのイスラム教の慈善活動がキリスト教徒を援助する見込みは低く、同地区のキリスト教徒は教会に援助を求めている。
バルナバ・ファンド国際ディレクターのパトリック・スークディア氏は、「我々の兄弟姉妹は今戦闘の真っ只中におかれており、暴力によって苦痛を受け、危機に瀕している。彼らの状況は絶望的だ。彼らは教会に支援を求めているが、しかし、(ガザ地区の)教会は世界中の教会からの支援がなければ彼らを助けることができない」と、各国の教会からの支援を求めた。
バルナバ・ファンドは、イスラム圏のキリスト教徒への支援を中心に活動する英国の慈善団体で、93年に創立された。以来、迫害されている教会を支援し、現在は50ヶ国以上で支援活動を行っている。ガザ地区のキリスト教徒支援も、聖地エルサレムでは少数派となるキリスト教徒保護のために、同地区の教会指導者を通して行っている。