NFL(ナショナルフットボールリーグ)の元クォーターバック、カート・ワーナー氏は、デンバー・ブロンコスのクウォーターバックのティム・テボウに、試合中にクリスチャンであることを前面に出してしまうのは、チームとの溝を生むことになると助言した。
ワーナー氏は、多くのテボウ批判者とは違い、彼の姿勢を非難しているわけではなく、むしろ自身の経験からアドバイスを与えている。
セントルイス・ラムズの一員として2000年のスーパー・ボールで勝利を掴んだワーナーは、「神よ。感謝します」と祈りをささげたことにより、多くの批判を浴びた。彼は、テボウに自分と同じ状況に陥って欲しくないと思っているようだ。
ワーナー氏はアリゾナ・リパブリック紙に対し、「信仰をもつアスリートたちはほとんど、決まり文句のように『私は神とキリストに感謝の祈りをささげたい』と言うものだ」と語り、「こう言ってしまうと、また皆が警戒し始める。私はより戦略的に考えなければならないと気付いたんだ」と続けた。
テボウが試合中に信仰を表出したことは初めてのことではなく、NFLの中で話題となっている。
ブロンコスの元クウォーターバック、ジェイク・プラマーは以前、「僕は彼を勝利者だと思うし、それに関して彼を尊敬しているんだ」と語り。また、「もし僕たちが、彼がイエス・キリストを愛しているということを知って受け入れるなら、彼は今までよりも少しだけ僕たちのことを好きになるだろうね」とも述べた。
プラマーのコメントは、テボウのサポーターと、宗教とスポーツを一緒に考えたくない人々の間で激しい議論を巻き起こしている。
しかし、ワーナー氏の発言は、若いクォーターバックを指導しようという気持ちからきたもののようだ。
ワーナー氏はアリゾナ・リパブリック紙に対し、「どのように生きるかという生き方が重要だ。人々に大きな影響を与える者にとっては言うまでもない。イエス・キリストに代わって人生の全ての行動でキリストを表すなら、人々はそれに引き付けられる。行動の基準を定めることで、後から言葉がやってくる場合もある」と語った。
テボウの試合で得点を挙げた直後に、ひざまずいて祈るポーズは「Tebowing」としてインターネット上で大流行した。
また、彼のその動きを真似ることは、対戦相手が大きなプレーをしたり、彼らの攻撃を止めたりした際に、テボウを馬鹿にするためにも使われた。デトロイト・ライオンズののラインマン、ステファン・タロッチは試合中、テボウにタックルした後に「Tebowing」したとして反感を買った。
しかし、テボウはこれについてAP通信に対し、「彼はチームメイトと祝福し合って楽しんでいただけで、僕はそれに怒ったりはしていないよ」と語った。
テボウがワーナー氏の発言にどう応答するのかは定かではないが、テボウにとって宗教・信仰は公私にわたって人生の重要な部分のままだろう。
彼はESPN(エンターテイメント・スポーツプログラム・アンド・ネットワーク)に対し、「それは私の人生の中で一番重要なことなんだ。僕はいつでもイエス・キリストを愛していると言いたいし、もしテレビで彼の名を叫ぶ機会があれば、それを利用するつもりだよ」と語った。