貧困・自殺などの問題に様々な取り組みを発信している団体「いのちのフォーラム」が8日、淀橋教会(新宿区)にてシンポジウム「大震災から見えてくる日本~新たな課題と今後の展望~」を開催した。このシンポジウムは、東日本大震災復興支援チャリティイベントの第一弾となる。
震災を通じて見えてきた課題と、今後の展望について、自殺や貧困問題に取り組む有識者が語ることになった同イベント。中下大樹氏(真宗大谷派僧侶)を司会に、湯浅誠氏(反貧困ネットワーク事務局長)、雨宮処凛氏(作家)、清水康之氏(NPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表)、香山リカ氏(精神科医)が、出演した。
雨宮氏は、震災後、「同じ命の問題だが貧困の問題の優先順位が下がっている状況」や「原発問題から浮き彫りになってきた放射能が壊す人間関係」などについて語り、香山氏は、「震災で、多くの犠牲を払ったが、まだ弱肉強食といった部分が残っている日本の姿」や「病院に来る患者から語られる夫婦の離婚問題、姑問題」などについて語った。
中下氏と湯浅氏は、流行語の一つにもなった「絆」というキーワードを挙げ、先日、新宿区大久保のアパート火災で問題となった「低所得の高齢者らが直面している貧困や孤立」の問題について語った。湯浅氏は、同時に、被災者が仮設住宅に移っていく際、「最後まで避難所に残っていたのは、どういう人か」なども例にあげ、表になかなか出てこない貧困の問題について、課題の深さを出し続けて、持続的な関心を引き止める必要性を訴えた。中下氏は、被災地での体験や在宅ホスピスケアで患者と接した体験なども証した。
また清水氏は、震災後のゴールデンウィークから新たに開始した電話相談の体験を語り、「復興は大事だが、誰かを置き去りにするような復興はいけない」と訴え、今後の自殺の問題に注意を促した。また「苛めや自殺など、起きてはならない、あってはならない事に対して、リスクとして把握すらしていない学校の現状」や「一回支えられた人は、支えることの大切さを知っているから、今度は支える人にまわる」事について説明した。
参加者の質問の後、淀橋教会の副牧師である新川代利子氏より、淀橋教会災害支援緊急援助隊「アガペーCGN」の活動が説明された。説明の後、被災者慰霊のための黙祷と自由献金が捧げられた。自由献金は、淀橋教会災害支援緊急援助隊「アガペーCGN」の活動資金として用いられる。
同イベントの主催「いのちのフォーラム」への問い合わせは、ホームページ(http://www.inochi.or.jp/)まで。